選挙の投開票日は候補者だけでなく、テレビ局にとっても負けられない戦いの日となる。各局とも看板キャスターと有名コメンテーターを組み合わせ、視聴率合戦を繰り広げるのだ。

 そんな中で担当者が頭を悩ますのは、すでに放送が決まっていた番組をどうするか。特に、日程を変更できないスポーツ中継を予定していた場合はやっかいだ。年末にかけては各局とも、フィギュアスケートなど冬季スポーツの中継が目白押しで、投開票日がいつになったとしても、どこかの局が大型のスポーツ中継と重なる運命だった。

 そして今回、“丸かぶり”の憂き目に遭ったのは日本テレビだ。

「投開票日が国際サッカー連盟(FIFA)クラブワールドカップの決勝なんです。各大陸のクラブ王者が世界一を目指す大会で、英プレミアリーグのチェルシーなど名門クラブが集まる。うちが力を入れているスポーツ中継の一つですが、キックオフはなんと午後7時半で、投票が締め切られる午後8時はプレーの真っ最中。今のところ、試合終了まで画面端にL字形で選挙速報を流す案が有力です」(日テレの関係者)

 日テレはなぜか、総選挙が“一大イベント”に重なることが多い。2009年は「24時間テレビ」と重なり、選挙特番は午後9時からの放送となった。ならば、日テレは運が悪いのかと言うと、実はそうでもない。

「09年の例だと、24時間テレビはもちろん、選挙特番も20%を超える高視聴率でした。他局が選挙一色の中で違う番組をやれば、選挙に興味がない人が集まるというわけです。今回も高視聴率が期待できそうです」(別の日テレ関係者)

週刊朝日 2012年11月30日号