様々な応援文化も生み出すフィギュアファンたち (c)朝日新聞社
様々な応援文化も生み出すフィギュアファンたち (c)朝日新聞社
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 フィギュア人気が定着し、羽生結弦や紀平梨花らスター選手の活躍も気になるが、独特ともいえる応援文化を持つフィギュアファンに興味を持っている方も多いはずだ。テレビ中継を見ていて伝わってくる部分もあるが、実際に現場で観戦をしたことがなく、身近にフィギュアファンがいない方にとっては、謎のベールに包まれた部分も少なくない。

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 そこで、海外で行われる試合にも時に足を運び、アイスショーなども現場で観ることが多いという女性に、フィギュアファンの「実態」について話を聞いてみた。

 今回話を伺ったのは、フィギュアファン歴20年以上の加藤直美さん(仮名・52・主婦)。伝説的スケーターの伊藤みどりさんが活躍していた時代からフィギュアのファンとなり、最近では2018年に韓国で行われた平昌五輪も現場で観戦した筋金入りのファンだ。

 まず、外国でも数多くの大会が開催されるフィギュアの観戦について考えると、やはり「お金」をどのように工面しているかが気になる。その部分について伺うと、中には裕福なファンもいるとのことだが、ほとんどの方は仕事を持ち日々の節約などでチケットや交通費を捻出しているようだ。

 また、羽生は熱狂的なファンが多くお金も出し惜しみがない豪快な方が多いよう。例えば、雑誌類、グッズ、ポスターなどを飾るために、わざわざマンションを借りているという方や、アイスショーが行われる会場近くのホテルを予約できなかった際に、3日間家から新幹線で通った方もいたそうだ。どのスポーツも熱心なファンがいるが、フィギュア、特に羽生ファンは少し熱の入れようが一味違う。

 そして、そのような熱心なファンで溢れる会場では、どんな応援文化や、観戦マナーがあるのだろうかーー。

 最初にフィギュア観戦に欠かせないアイテムを尋ねると、真っ先に挙がったのが応援バナー。オリジナリティーあふれる作品を会場で広げているのはテレビでもよく見る光景だ。他には座布団やひざ掛けが、長時間の観戦を強いられるフィギュアにおいては欠かせないアイテムになってくるそうで、椅子の上に緩衝材の「プチプチ」を置いている方もいるそう。それ以外にも目の疲れを考慮して目薬を持参する方もいて、加藤さんの場合は、試合で緊張して胃が痛くなってしまうので胃薬を持って行くという。

 確かにフィギュアの演技前は独特の緊張感が漂う。本格的に応援しているファンからすると胃も痛くなるのもうなずけるような気もする。

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観戦マナーにも“鉄則”