他球団の公式ユーチューブと比べても、この量と質は圧倒的だ。そして、今年に入って変化したのが、サムネイル画像の作り方。以前は文字なし、もしくは単色の説明文のみだったが、今年のキャンプイン以降は大胆な構図にカラフルな“デカ文字”を入れ、公式とは思えないほどの“煽り”を入れている。担当者の工夫、熱量だけでなく、自分たちが楽しんでいる様子が伝わってくる内容となっている。

 その他の球団では、ロッテが「広報カメラ」と題し、“令和の怪物”佐々木朗希の初めてのブルペン投球に潜入した動画が話題となって再生回数は126万を超えた。日本ハムは試合や練習中のひとコマや選手のインタビューが豊富で、DeNAはスタイリッシュに作り込んだ動画がファンに好評だ。チャンネル登録数(3月9日時点)を見ると、トップの巨人の次に2位DeNA(9.91万人)、3位日本ハム(9.2万人)、4位ロッテ(8.1万人)と続き、5位以下はソフトバンク(7.92万人)、西武(5.35万人)、阪神(5.23万人)、楽天(3.82万人)、ヤクルト(3.54万人)、広島(3.19万人)、中日(2.64万人)、オリックス(2.06万人)となっている。巨人と並ぶ人気球団である阪神は今年の1月30日のチャンネル開設から積極的に動画をアップして登録者数を急激に伸ばしているが、まだ巨人には及ばない。

 今年は新型コロナウィルスの感染拡大を受け、オープン戦も無観客で行われ、開幕以降のファン対応も不透明な状況だ。報道陣に対する規制も行われていることで、選手の声が従来のメディアを通してでは伝わりにくくなることも考えられる。そんな時代だからこそ、球団とファンが直接、声と動きを伴って繋がることができるユーチューブは、より有効なものになっていく。この新たな試みを、球界の盟主である巨人が率先して行なっていることに、大きな意味があるのかも知れない。

▼▼▼AERA最新号はこちら▼▼▼