新型コロナウイルス(COVID-19)の重症患者の救命の「切り札」となりうる「体外式膜型人工肺」(Extra Corporeal Membrane Oxygenation: ECMO)(画像提供:日本COVID-19対策ECMOnet)
新型コロナウイルス(COVID-19)の重症患者の救命の「切り札」となりうる「体外式膜型人工肺」(Extra Corporeal Membrane Oxygenation: ECMO)(画像提供:日本COVID-19対策ECMOnet)
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 新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大により、国内でも陽性患者が増加しつつあるが、重症化した肺炎患者の「最終的な切り札」とされている集中治療が「体外式膜型人工肺(ECMO)」だ。ECMO管理のエキスパートであり、東京都立多摩総合医療センター救命救急センター部長の清水敬樹医師に、新型コロナウイルス感染症の重症肺炎に対する、ECMOでの治療体制や今後の見通しについて聞いた。

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 新型コロナウイルス感染による今後の重症患者の増加を懸念して、日本集中治療医学会、日本救急医学会、日本呼吸療法医学会などの関連学会では、2月16日から、学会の公認の活動として医療従事者向けに電話相談窓口を設置している。24時間体制でECMOの治療のエキスパートが、ECMOを中心とした重症管理などへ助言をおこなうという。清水医師もその窓口を担当している。

「新型コロナウイルス感染の重症肺炎患者を治療中の感染症指定病院の感染症内科医や呼吸器内科医など現場の医師から連日、多数の問い合わせが来ています。ただ、開設から間もないため、この窓口の存在を知らずに、『患者の肺炎が重症化して改善がみられないが、ECMOを導入するにもどこに相談したらよいのか』と相談先に頭を悩ませている医師もまだ多いのが実情です」(清水医師)

 ECMOは、機能が低下した肺を、人工肺で補う装置で、首や足の付け根から太い管を入れ、血液をからだの外へ吸引し、人工肺で血液に酸素を取り込ませ、体内へ戻す。肺での酸素の取り込みがおこなえなくなった状態の患者に用いられ、自分の肺の機能が回復するまで、人工肺が肺の機能の代わりを担う。

 症例数を多く経験している施設であれば、救命率70~80%。今後、さらに重症患者が増加した際には、ECMO管理が切り札の一つになる。ただ、あくまでも治療期間のチャンスを伸ばすために呼吸維持の時間稼ぎをする装置であり根治的治療ではないことを留意する必要がある。

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ECMOは「チーム医療」が重要になる