肺がん治療全体では、ここ数年ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬の保険適用が大きなトピックスとなっている。

「今までの抗がん剤に比べ、薬の効果が年単位で続くと言われています。ただ、効果がある人は全体の2割足らずに限られており、また、効果がある=治るではないということも、知ってほしいと思います」(山下医師)

■セカンドオピニオンとるべきケース

 肺がんの手術は病院によって、切除が可能かどうか、あるいは切除をするにしても肺葉か区域か部分かなどの判断が、大きく異なる場合がある。

「とくに慢性閉塞性肺疾患や間質性肺炎、心臓疾患、腎臓病、脳梗塞などの合併症がある場合にはリスクが大きく、病院によっては不可と言われることがあります。ほかの病院で可能な場合もあるので、一度別の意見を聞くとよいでしょう」(鈴木医師)

 CT画像ですりガラス状の影が見つかった場合の治療も、セカンドオピニオンの対象となる。

「1センチ程度で肺葉切除と言われた、逆に様子見と言われたなど、患者さんが悩む場合も多いと思います。治療はすりガラス影の状況によって異なるので、なぜその治療なのかを尋ね、十分な説明がないなど納得できない場合には、セカンドオピニオンを考えてもよいのではないでしょうか」(山下医師)

≪セカンドオピニオンをとるべきケース≫
ケース
合併症があり手術を受けるべきかどうか悩んだとき

 心臓疾患や慢性閉塞性肺疾患、脳梗塞の既往など合併症がある場合、手術に伴うリスクは少なくなく手術そのものも難しいため、十分な説明と手術の技術が必要。

ケース
すりガラス状の影で提示された治療方法に疑問があるとき

 CT検査などで、すりガラス状の影が見つかった場合、大きさやできた場所、影の密度などによって、切除の仕方や治療の時期を見極める必要がある。

■ランキングの読み方と病院選び

 肺がんの手術は、術後の呼吸機能の維持や、慢性閉塞性肺疾患などを持つ高齢の患者も多いことから、非常にデリケートで難しいという特徴がある。そのため病院によって、手術をするかしないかの選択やどう切除するかの判断の違いが大きい。手術総数は同程度でも、リスクが高い手術を多く扱っている病院もあれば、比較的リスクの少ない手術が多い場合もある。

「執刀医の数にもよりますが、手術総数は年間200例前後はほしいところです。200例だと1年50週として週に4例くらいの計算になり、簡単な部分切除を含むとしても、病院として一定の技術を持ち、難しい手術もおこなっていると考えてよいでしょう」(鈴木医師)

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肺がん手術はリスクが大きく病院選びが重要