彼女も最近では私を憎みだしているように思います。ますます嫌になります。今は、早く大学を出て就職して家を出ていってもらいたい、それしかありません。息子に対する愛情の1割でも良い、娘に対して愛情を持ちたいです。罪悪感はあります。でも、もう遅いだろうなとも思います。毎日、毎日、彼女の顔を見るたびに早く出ていけと思ってしまうこの心をどうにかしたいです。人の話を聞くのが大嫌いでカウンセリング等も行きたくありません。大好きだった夫への愛情も冷めてくるほど娘への憎しみが私の心を支配してきているように感じます。
【鴻上さんの答え】
そうですか。母親失格さん。いや、すごい名前をつけましたね。これでは、呼びかけるたびに、レッテルを貼っているようですね。それは嫌なので、「あなた」と呼びますね。
あなたは娘さんを愛せないんですね。そして、その理由が分からないんですね。
じつは、『ほがらか人生相談』では、母親からの「娘を愛せない」という相談はわりとあります。珍しくないのです。
「息子を愛せない」という母親からの相談はまだ来ていません。相談は、今のところ、すべて、「娘を愛せない」というものです。
さて、あなたの相談で気になったのは、以下の部分です。
「彼女の嫌な所は全て私に似ていると思います。自己中心的な所、無駄にプライドが高い所、周りを気にしながら騒ぐ所、見栄っ張りな所」
じつに冷静な分析だと思います。娘さんと同時に自分をしっかりと見つめています。
これらの特徴はネガティブなことなので、あなたが娘さんの性格に「その全てに嫌悪感を感じます」と書くのは当然だと思います。
でも、同じ特徴を持つ自分に対しては、あなたはこう書きます。「だからと言って自分が嫌いだとか、そういうわけではありません」
僕からすると、じつに不思議な流れです。自分と娘さんは同じ「嫌な」性格なのに、娘さんにだけ「嫌悪感を感じ」、同じ「嫌な」性格の自分は嫌いにならないと言うのです。