ドラフトでは西武楽天日本ハムを含む4球団競合の末にロッテが交渉権を引き当てた。ロッテにとって近年のドラフトは成功の流れが継続している。 15年オフの平沢大河から始まり、安田尚憲(17年オフ)、藤原(18年オフ)と高校野球のスター選手を立て続けに獲得。チーム強化も着々と進んでいるように見えるが、佐々木の指名あいさつ後にロッテ関係者からは驚くべきコメントが続出した。

「まずは日本一の投手になるために、身体作りからしっかりやっていこうと。『その先の目標があるよね』という話もしました」(井口資仁監督)

「ロッテだけでなく、球界の宝だと思っています。責任をもって『羽ばたける』ようにサポートしたい」(永野吉成スカウト部長)

 将来的な佐々木のメジャー挑戦をバックアップするような発言が飛び出したのだ。これは12年オフ、日本ハムが大谷をドラフト指名した際の流れにも似ている。

「佐々木の素質は申し分ない。将来的にはメジャー挑戦の夢を持っていると聞いていたし、すぐにでも契約したかったからマークしていた。しかし本人は冷静で、現状では通用しないと理解していたらしい。技術、体力、経験を積むにはNPBでプレーするのが近道だと考えたようだ。ロッテは佐々木がいる間に優勝して、良い形で送り出したい。それが最高のシナリオになるはず」

 メジャーリーグ極東担当スカウト氏は残念そうに語った。佐々木は将来のメジャー挑戦を視野に入れつつも現在は日本で自らを磨き、ロッテでの活躍しか考えていない。

 1軍キャンプに帯同し、順調に行けば早い段階での1軍デビューも考えられる。そのためにもキャンプ、オープン戦の過ごし方が重要となる。

「まずは体力面を含めて、吉井理人投手コーチの下でフォームを固めるということもある。ペースはしっかりとこちらで見ながらやっていきたい」(井口監督)

「実際に練習を見て『いける』と思ったら、すぐにブルペンに入ったりもするかもしれない」(吉井コーチ)

 現状把握からのスタートとなるが、NPB、MLB両方で豊富な経験を持つ2人が直近の上司にいることは心強い。故障することなく、順調に成長すれば、怪物がプロの舞台で覚醒する日もそう遠くないだろう。

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