■金銭的によゆうがなければ、子どもを産むことはできない

 ただでさえ年金問題で「老後の貯金は2千万円必要」と不安をあおる言葉が広がっているのですから、金銭的によゆうがなければ、子どもを産まない、産むとしても少なめに、という選択肢が増えるのは当然でしょう。

 家庭の収入を増やそうと両親共に働こうとしているのに、国は、仕事中に子どもを預けられるシステムをしっかり整えてくれていないわけで……その状態で、「日本の将来を支える子どもをたくさんつくれ」と少子化問題を叫ばれるのって、かなり不条理なクレームをつけられていますよね。

 そして私も、住んでいる地域とその近隣の場所にある学童保育を全て調べあげ、料金、場所、雰囲気、行事、時間を比較し、最も息子に合いそうだと判断したところに申し込みました。

 あと3人で申し込み終了だったそうで、ギリギリでしたが小1の壁、なんとかひと段落しそうです。

 ところが。ある東京の小学生の子どもをもつママ友と話したとき、驚くべき言葉を聞かされました。「え? なんでそんなに学童保育少ないの?」「しかもなんでそんなに料金高いの?」と。

 なんと、年々増えている小1の問題、特定の地域では既に解決しているようなのです。

 詳しく調べてみると、そもそも学童保育は地域によって、料金も施設の数も、かなり異なっていました。例えば公営なら東京の練馬区だと月額5500円、目黒区では8千円、杉並区では4千円。

 東京、千葉、埼玉に次いで小1の壁が高いという、私の地元静岡の駿河区は、月額で9500円、8月は1万4千円に増額されるとのこと。平均的にみて高額なうえに、私の友人は「低学年でも入れなかった(高学年より入りやすい)」と嘆いていました。

 静岡市役所のホームページには「共働き子育てしやすい街1位(地方都市)に選ばれました」という文字が堂々と並んでいるのですが……?

■江戸川区と江東区は、小1の壁を壊すのに成功!

 さて、その友人が住んでいるのは江東区で、学校内に学童が二つあり、一つは定員がないうえに保護者の就労の有無に関係なく申し込めば入れるとのこと。

 Aタイプ(自主的な遊びの場を提供)とBタイプ(就労世帯等の小学生が利用可)が選べ、Aはなんと「年間」で3千円、Bは月額4千円です。さらにAは来年度から年間500円になるらしく、これはもう他の区の消費税レベルではないですか。

 しかも、さらにそんな江東区の隣にある江戸川区の学童保育は「すくすくスクール」という名称で、友人の学校と同様、保護者の就労の有無関係なしに全員が入れるため、待機ゼロなのだそうです。

 つまり、江戸川区と江東区では、小1の壁を壊すのに成功していたのです(ちなみに、その二つの区に隣接している墨田区は、普通に月額4500円でした)。

 江戸川区の「すくすくスクール」は厚生労働省の管轄外で運営されています。場所は学内の施設ではなく「学校全体」を使い、まとめ役のマネジャーを置き、そこに講師としてボランティアやサポートの方が加わるそうです。

 そしてポイントは、講師は主に高齢者が多い、という点です。これを聞いたとき、素晴らしいアイデアだと思いました。なぜなら、小1の壁に加え、高齢化にともなう問題も解決しているからです。

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