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昨年、インターネット上での誹謗中傷が原因で、韓国の女性アイドルが自殺したと報道されました。
これはYouTuberをはじめ、誹謗中傷にさらされることの多い人たちにとって、衝撃的なニュースでした。決して人ごとではないと思ったのです。
とくに、顔を出してYouTubeに登場している人には、必ず誹謗中傷のコメントがきます。なかには容姿に関することも含めてひどい書き込みもあります。
そして、「それは仕方のないことだ」と、諦めるのが現在のYouTube業界の慣習です。
私の夫は、YouTubeのコンサルタントであり、YouTuberの育成事業もしています。10代から30代の人たちを中心に育成しています。夫によると、とくに10代後半のYouTuberが辞めてしまう理由に誹謗中傷のコメントが関わっているそうです。
100件の良いコメントより、1の誹謗中傷が気になるのです。明確に自分に向けられた悪口や敵意は、本人に非常に大きなストレスを与えます。
日常生活のなかで、目の前で悪口を言われたり、批判をされたりすることは珍しいと思います。それがインターネットだと“当たり前のこと”として毎日のように起こるのです。コメントによるストレスで、せっかく才能があるのにYouTubeを辞めてしまった人もいます。そのくらい、明確な敵意や悪意の言葉は、大きなストレスになるのです。
私たちは、そういった誹謗中傷のコメントを気にしないメンタルもYouTuberに求められる資質の一つであると考え、「全員に好かれることはないから、コメントは気にしちゃダメだよ」と指導していました。おそらく他のYouTubeコンサルタントや、育成事業をしている人も同じように指導していると思います。
しかし、韓国アイドルの自殺の報道を受け、事態はより深刻で、もっと根本的な部分を解決しなければならないのではないかと考えました。
原因ははっきりしないとはいえ、もし誹謗中傷が自殺の原因だとすれば、それは殺人と変わらないという考え方もできるのかもしれません。
これまでは、芸能人やYouTuberなどは、ある程度の誹謗中傷にさらされるのは仕方のないことで、有名税の一つであると認識されていました。実際、多くのYouTuberは匿名の心ないコメントに耐え続けていますし、有名YouTuberにも強いメンタルを持った人が多いのが現状です。
しかし、彼女の自殺によって、「画面に映る文字で人は殺される」という事実が突きつけられたような気がしました。これは大きな問題だと思うのです。