報道の影響からか、最近は自分の孤独死を心配する人が増えました。

 2010年の孤独死に関する調査では「心配」と答えた人は37%だったのに対し、19年には50%と上昇しました(朝日新聞社調べ)。
 
 大家族で暮らしていた時代には、家の中では会話が飛び交い、近所づきあいもあるなど、周囲のサポートを受けやすい環境でした。しかし近年は、高齢者世帯の増加により、老いてからの一人暮らし、孤立する老人も増えました。こうした社会環境の変化も、高齢者のうつを多く生み出す原因といえます。

■薬の副作用で、うつ状態になることも

 高齢になるにつれて、どうしても服用する薬は増えていきます。知っていてほしいのは、薬の副作用でうつ状態になることもあるということです。

 例えば、ステロイドやインターフェロン、抗がん剤、抗エストロゲン剤などの服用からうつ状態になることが知られています。また、消化器系や循環器系などで一般的に使用される薬でも、うつ状態が引き起こされることがあります。「あの薬を飲み始めたら、不安や焦燥で眠れにくくなった」などのうつ症状が出た場合は、注意が必要です。
 
 高齢者のうつは、認知症と間違われることもあります。うつ病でも認知症のように記憶力・判断力・理解力の低下がみられることがあり、一方認知症でも意欲や興味、関心の低下など、うつ病のような症状が存在するからです。

■治療によって、うつ病は改善する

「毎日、抑うつ状態が続く」「食欲が無く眠れない」「何をしても興味や喜びを感じなくなった」などの症状があれば、精神科や診療内科を受診して治療を受けましょう。

 高齢者のうつは、患者さん自身が病気であることを認めなかったり、精神科への受診に抵抗があったりするため、受診率が低いといわれています。

 もし、あなたの配偶者や親にうつ病のような症状があらわれた場合、本人が自覚している場合は「最近、箸が止まっていない?」「夜、ちゃんと眠れている?」といった、身体的な症状に焦点を当てて、受診を促すのがオススメです。
 

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