優勝した巨人も正捕手争いは激しい。4年連続でリーグトップの盗塁阻止率を誇る小林誠司が当面の正捕手だが、出場試合数は過去3年で減少をたどっている。その裏にあるのが昨年FAで加入した炭谷銀仁朗と大城卓三の台頭だ。炭谷は故障もあって58試合の出場にとどまったものの、打率は自身最高となる.262をマークし、ホームランも前年の0本から6本と増加している。失策0と守備の安定感も光った。大城の魅力は何よりもそのバッティング。OPSは2年連続で7割を超えており、チャンスでの強さも光る。小林も打率は向上したものの、OPSは毎年5割台とやはり打撃面での貢献度の低さが気になるだけに、正捕手が入れ替わることも十分に考えられるだろう。
パ・リーグでは嶋が退団した楽天が最も起用法が読みづらい。今年は高校卒4年目の堀内謙伍と大学卒ルーキーの太田光が多く起用されたが、ともに一軍レベルでは打撃の弱さが目立っていた。打撃に定評のある岡島豪郎が捕手に復帰したものの、今季は故障で一軍出場はなく、来季の正捕手争いは混とんとしている。石井一久GMとなり、このオフはFAやトレードでも積極的に選手を獲得しているだけに、状況によってはシーズンに入るまでに他球団からトレードで補強することも考えられるだろう。
日本一となったソフトバンクも勢力図が変わりそうだ。甲斐拓也が年々成績を伸ばして正捕手として盤石となりつつある中で、ドラフトでは2位で海野隆司を獲得している。海野は守備に関してはアマチュアナンバーワンであり、特にスローイングは甲斐を彷彿とさせるものがある。長く二番手の捕手として定着していた高谷裕亮に年齢的な衰えが見えてきており、海野はその座を狙うところからスタートするが、もし甲斐に故障など不測の事態が発生した場合は一気に正捕手交代ということもあり得るかもしれない。甲斐、海野のハイレベルな争いが常勝軍団でどのように作用するかは見ものである。