大学入学共通テストへの英語民間試験導入が延期となった。延期以前、どのくらいの大学がこの試験を利用しようとしていたのだろうか。
文部科学省はこんな統計を発表している(10月25日)。英語民間試験の具体的な利用方法を決めた四年制大学や短期大学は629校(全体の6割)だった。四年制大学は71%となっており、うち国立は95%、公立86%、私立65%だった。
英語民間試験の導入は国をあげて進められてきたが、100%とはほど遠い。なぜ、「お上に逆らう」大学が出てきたのだろうか。
英語民間試験導入の延期以前に、同試験を利用しないと宣言した大学を見てみよう。北から紹介する(すべて当該大学のウェブサイトから引用)。
まず岩手県立大である。今から約1年前、鈴木厚人学長は英語民間試験を導入しないと宣言している。
「その理由は、岩手県内を含め地方において、高校生に等しく認定試験を受検する機会が確保できるか、受検料や会場までの交通費など認定試験への経済的負担が多いことなど、不安を抱えたまま受検することを心配したためです。また、岩手の高等教育機関として地域の未来を担う人材育成を使命とする本学として、認定試験を受検しなかった場合でも、本学を受験することができるようにしたいと考えました」(2018年11月26日)
大学は受験生がどのような不安を抱えることになるかを考え、受験生を心配した。国の政策に従うことより、受験生に徹底的に寄り添うことを選んだのだ。これが大学の矜持というものであろう。
続いての東北大は明確だった。
「ただし、平成32年度に予定されている英語認定試験については、公平公正な受検体制の整備や成績評価などに関しこれまでに様々な問題が指摘されております。平成33 年度入試に利用するためには、現時点ではこれらの問題が解決する見通しが立っていないと認識しています。
また、本学が実施した高等学校調査でも英語認定試験を受験生に一律に課すことに対し、賛成が8%と少数である一方、反対は4 割を占め、高等学校をとりまく環境で十分準備が整っていないと理解されます。