慶應義塾大は2012年にセンター試験利用入試を廃止してから、入試については「我が道を行く」方針を貫いており、英語民間試験に興味を示さなかった。
「英語外部検定試験は利用しません。従来のとおり、英語外部検定試験の受検およびスコア等の提出は課しません。将来的な英語外部検定試験の利用については、引き続き検討を行います」(2018年11月19日)
大学入学共通テスト、英語民間試験利用の旗振り役の一人に、中央教育審議会元会長で元慶應義塾長の安西祐一郎がいる(塾長期間:2001~2009年)。しかし、その後、塾長になった清家篤(2009~2017年)、 長谷山彰(2017年~)は、安西の意向に従わなかった。入試政策において三田会的結束はまったくみられなかった。慶應の考え方として、国政に追随したくないという思いがあるようだ。一方、早稲田大は、大学入学共通テスト、英語民間試験利用に積極的で、この問題について「在野の精神」はみられない。
津田塾大は文科省に対する疑念を捨てきれない。
「しかし、現時点に至っても、英語外部検定試験の実施体制等が不明確なままです。本学では、こうした諸問題が解決に向かうまでの間、一般選抜での英語外部検定試験の利用を控えることとし、2021年度入試では利用いたしません」(2019年10月2日)
国の政策を「実施体制等が不明確」と言い切るところに、津田塾大の英語教育に対するプライドが読みとれる。
愛知県立大の対応は慎重だった。
「本学では、平成30年12月26日付及び平成31年4月25日付予告で、『認定試験』の活用方法について公表し、その成績を『大学入学共通テスト』(以下『共通テスト』)の得点率に換算する方法について、検討を重ねてきました。しかし、公平で客観的な換算方法を未だ確立するには至っていないため、次の入試区分について『認定試験』の利用を見送り、『大学入試英語成績提供システム』と『共通ID』は利用しないものとします」(2019年10月11日)