「参加型の学びでは、学生の集中が高まります。アクティブラーニングは最初のセッティングが大事です。どうしてこんなことをするのか、どんな力がつくのかを先に話すと、学生たちは納得して積極的に取り組んでくれます」


 
 たとえば、古文を読んで見出しをつける課題は、要約力、表現力がつくと説明する。席の指定制については、初対面の人に自分のことを伝える大切さ、自己紹介が何度も練習できることなどを話す。学生からは「だんだん話せるようになってきて、うれしい」「視野が広がった」「高齢の人と話せてラッキー」といった前向きなコメントが多く、手応えを感じている。
「日本文学を学びながら、コミュニケーション力、考える力、いま必要とされているソーシャルスキルを一緒に育てていけるように、意識して授業を組み立てています」

○平野多恵
ひらの・たえ/富山県生まれ。文学博士(東京大学大学院)。十文字学園女子大学短期大学部を経て、現在は成蹊大学文学部教授。日本の古典文学を身近に感じてほしい、と始めたおみくじの授業が、学園祭の人気企画に大発展。全国の社寺のおみくじを収集するおみくじ研究の第一人者。

(文/仲宇佐ゆり)