つまり、守勢に回ってひたすらタックルに追われるような展開ではなかったにもかかわらず、相手を上回る数のタックルを高い成功率で粘り強く続けたことになる。

 攻撃では、相手が自由に動けるような形でボールを相手に渡すキックは封印し、ボールを持って攻撃を継続。一方で、自陣深くからは確実にタッチに蹴り出してプレーを切り、ラインアウトから攻める相手にプレッシャーをかけ続けた。

 後半9分、大会開幕前の負傷で開幕戦のロシア戦は欠場した福岡が交替出場でピッチに入る。その8分後、日本は相手トライラインから10メートル付近のスクラムという絶好機を得た。作り込まれた連係プレーで左に右にと連続攻撃を仕掛け、姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)らフォワードがゴールに迫る。最後は左にボールを回し、中村亮土(サントリーサンゴリアス)の飛ばしパスをラファエレ・ティモシー(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)が気心通じたクイックパスでフリーの福岡へ。福岡がインゴールに駆け込んで、日本が逆転した。コンバージョンゴールは、5メートルラインよりやや内側という角度のある難しい位置だったが、田村が決めて4点差。さらに31分にも田村の4本目のPGでリードを7点に広げた。

 日本は終了間際にも福岡のインターセプトでアイルランドゴールに迫った。最後はボールを失ったものの、7点差以内の敗戦に与えられるボーナス点1の確保を優先したアイルランドが自ら試合を切り、歓喜の瞬間を迎えた。

 日本のジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は「自分たちの信念を貫いた。我々はこの試合に時間を掛けて準備した。(コーチングスタッフも含めた)力を結集して勝利に結びつけることができた」と勝因について語った。チームキャプテンのリーチ・マイケルは「やってきたことを全て出すことができた。(勝利は)相手にプレッシャーが掛かっているのが見えてきたので、それに対し、細かくこだわって意識して対応できたのがよかった」と話した。

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敵将も「日本が素晴らしかった」と脱帽