療養を援助するのも病院医療では病院の職員になりますが、在宅の場合は家族、在宅医療関係者、介護事業者、ボランティアの援助者など、さまざまな人が関わります。「食事」「排泄(はいせつ)」「入浴」といった基本的な介護は、家族が看護師などにアドバイスを受けながらおこないます。家族にかかる負担は、病院医療よりも大きくなるのです。

■家族のサポート態勢が在宅医療のカギに

 とはいえ、在宅医療では、病院ではできないさまざまなことが可能になります。例えば医師が認める範囲で、好きなものを食べることができます。何を着るか、何時に起きて何時に寝るか、一日をどう過ごすか、本人が自由に決められます。また病院の場合、小さな子どもは面会できないこともあるほか、面会時間には制約があります。在宅では子どもを含め、家族に囲まれて過ごす時間をより多くもてることが大きなメリットといえるでしょう。

 在宅医療を選択するには、本人の病気を受け入れる覚悟や、闘病への意欲と同時に介護や看取ることへの家族の覚悟、サポート態勢が非常に重要になります。

 ただし家族のサポートに関しては、地域の介護サービスを利用すれば、負担を減らすことができます。なかでもホームヘルパーは食事の介助や排泄、入浴など介護の一部を担当したり、掃除や洗濯などの家事を援助したりする役割があり、家族の負担は大きく軽減されます。

 ケアマネジャー、訪問看護師も家族が介護で困ったときに相談にのってもらえる心強い存在となります。

■在宅でも病院とほぼ同じ医療を受けられる

 たとえ本人や家族に覚悟があったとしても、同時に在宅医療に対する不安も抱きやすいものです。「緊急時に対応が遅れるのではないか」「病院と同じような十分な医療を受けられないのではないか」といった不安です。

 こうした不安は、在宅医療のデメリットでもありますが、現在の在宅医療は、医療機器の小型化や軽量化により、病院でおこなわれる検査や治療とほとんど変わらないレベルで、実施できるようになっています。

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