「病院医療と在宅医療の比較」
「病院医療と在宅医療の比較」
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石垣泰則医師。コーラルクリニック院長。日本在宅医療連合学会代表理事副会長。順天堂大学脳神経内科・リハビリテーション講座非常勤講師
石垣泰則医師。コーラルクリニック院長。日本在宅医療連合学会代表理事副会長。順天堂大学脳神経内科・リハビリテーション講座非常勤講師

 現在、約8割の人が自宅ではなく、病院で最期を迎えています。一方で厚生労働省の調査では、「自宅で最期を迎えたい」と希望する人が75%を超えています(平成29年度「人生の最終段階における医療に関する意識調査」)。最期まで住み慣れた自宅や地域で自分らしく暮らすことを望むのは、当然のことかもしれません。

 一方で病院は、医師や看護師がそばにいてくれる安心感や、家族の負担が少なくてすむといったメリットがあります。では具体的に在宅医療と病院医療では、どのように考え方が違うのでしょうか。週刊朝日ムック『さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん2020年版』では、コーラルクリニック院長の石垣泰則医師に取材しました。

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 在宅医療と病院医療とで大きく異なるのが、治療の目的や形態です。一般的に病院医療では病気の根治や身体機能の回復を目指すのに対し、在宅医療では安定した生活を送れるようにすることやQOL(生活の質)の回復・向上を目的として治療します。このためおこなわれた医療に対して病院医療の場合は「身体機能が良好になること」が評価されますが、在宅医療では「安心・満足」が評価基準になります。

 治療の形態は、病院医療の場合は病気を治すための「集中的治療」となり、在宅医療の場合は生活を支えるための「継続的ケア」になります。

 在宅医療で、集中的治療を希望したとしても、実現するのは難しいといえます。例えば高熱や出血が続くような不安定な状態の場合、集中的な治療が必要なので、病院医療が適しています。

 また、病院医療では医療の主役が医師を中心とした医療関係者ですが、在宅医療では在宅医が訪問診療をするとはいえ、主役は本人や家族になります。どんな治療を受けるのか、延命治療や痛みのコントロールはどうするのか、といった決定は、医師に任せきりにするのではなく、本人や家族が決めていくのです。

 たんの吸引や床ずれの手当て、呼吸器や点滴バッグの管理など、家族が医療行為をおこなうこともあり、この点も病院医療との大きな違いです。

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在宅医療は家族の負担が大きい