その中でも、後半半ばに自陣ゴール前まで攻め込まれながらもトライを許さなかった防御は安定していた。日本のタックル成功率は86%でロシアの75%を上回った。また、前半の松島の二つのトライの場面は、ともにタックルを受けた選手が片手でボールをうまく外に繋ぐことで相手防御を崩した。こうしたパスを一か八かのプレーではなく安定した技術として身につけていることは、攻撃の幅を広げてくれるはずだ。
一方、重要な攻撃の起点であるスクラムを押されて反則を取られた場面があった。攻めながらボールをこぼして逸機した時は、ロシアの選手がタックルの際に日本選手の腕に絡み、あるいは叩いてハンドリングエラーを誘っているようにみえた。こうした点は、今後の対戦相手も当然突いてくるだろう。
また、ロシアは地域を前に進めるキック、再捕球してさらに攻撃を継続するキックと戦術が明確で技術も高かった。日本は本来の狙いのはずの、相手の陣形が乱れた「アンストラクチャー」の状況を作るキックよりも、単に自分たちが持っていたボールを手放してしまうだけの結果に終わるキックの方が多かった。
「緊張があった。来週から、いい準備をしようと話した」。キャプテンのリーチマイケル(東芝ブレイブルーパス)は試合後の記者会見で語った。満点の試合運びはできなくても、しっかりと勝ちきって勝ち点5を獲得した日本。気持ちを切り替えて新たな戦いに臨む。
ラグビーワールドカップ2019には20カ国・地域が参加しており、日本はプールAでアイルランド、スコットランド、サモア、ロシアと同組。各プールの上位2チームの計8チームが決勝トーナメントに進出する。日本の第2戦は9月28日(土曜日)の16時15分から、小笠山総合運動公園エコパスタジアム(静岡県)でアイルランド(世界ランキング1位)と対戦する。