ロシア戦前半、コンバージョンキックにのぞむ田村優 (c)朝日新聞社
ロシア戦前半、コンバージョンキックにのぞむ田村優 (c)朝日新聞社
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 ラグビーワールドカップ2019が20日に開幕し、東京スタジアム(味の素スタジアム)で行われた開幕戦で開催国の日本(世界ランク10位)はロシア(同20位)を30-10で下し、目標のベスト8入りに向けて白星スタートを飾った。

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 日本はロシアに開始4分でトライを先取されたものの、右ウイングの松島幸太朗(サントリーサンゴリアス)の連続トライで38分に逆転。後半はスタンドオフ田村優(キヤノンイーグルス)のペナルティーゴールや、フランカーのピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ)、松島のトライで差を広げた。

 後半に点差は開いた。前回大会では1試合で4トライ以上を獲得した時に与えられるボーナス勝ち点を積み上げなかったために、3勝したのに決勝トーナメントに進めなかったが、この試合ではしっかりとボーナス点も奪い、勝利と合わせて勝ち点5を獲得した。

 しかし、東京スタジアムを埋めた観客もテレビ観戦のファンも、もどかしさを感じたであろう試合内容だった。日本は試合開始のキックオフの捕球に失敗していきなり自陣に攻め込まれ、直後に先取点を許したのも相手キックの単純な処理ミスから。攻めてもノックオンなどのミスが多く、特に前半は観客のため息が再三漏れる展開だった。

 ロシアは確かに強かった。ウェールズ人のリン・ジョーンズ監督がきっちりと作り込んできた様が見て取れる。世界ランクの数字ほどには大きくはない力関係の中で、この試合ではロシアが伸び伸びと力を発揮し、逆に日本は動きが硬かった。

 前回大会の南アフリカ戦を筆頭に、日本の過去のワールドカップの初戦は格上の強豪国に挑戦するという構図。ところが、今回の試合では目標のベスト8の実現のために勝利だけでなくボーナス点まで期待されていた。そして何と言っても、自国開催の開幕戦だ。これまでに経験したことのない重圧がのしかかっていた。剛胆な司令塔の田村が試合後、「10日間くらいずっと眠れなくて。勝たないといけないし、ボーナスポイントもあるし、いろいろなことがのしかかってきて早く終わってほしかった」と話すほどだった。

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勝利の中で“課題”も見えた日本代表