それゆえ、彼女は、
「節目、節目でガンダムが助けてくれた。歌い続けるパワーをもらった」(産経新聞)
と、語っている。そして、現在は「アニソン・デイズ」(BS11)の司会などで、アニメ界に恩返しもしているわけだ。小林幸子や藤井フミヤに自ら電話で出演交渉したり、アニソンと歌謡曲をつなぐような仕事は、彼女ならではだろう。
■ともに堀越の芸能コース出身
さて、水樹と森口の共通点はほかにもある。どこよりも早くアニメ専門レーベルを設立したキングレコード所属であること。また、高校が堀越の芸能(現・トレイト)コースだったことだ。森口は荻野目洋子や井森美幸、武田久美子が同期、水樹はともさかりえや佐藤仁美、堂本剛が同期である。
が、最大のポイントはやはり「のど自慢」だろう。特にこのふたりは「ちびっこ」時代からなので、その影響は計り知れない。歌が大好きという無邪気な童心から始まって、芸能界の華やかさや、ときには大人の事情なども垣間見ながら、成長してきた。場慣れもするし、さまざまな歌に挑戦するから、幅広い音楽性も養われる。
そういえば最近、20年ぶりくらいに会った知人とアニソンの話になった。彼の知り合いが水樹の音楽チームにいて、ハードロックやヘビーメタルの要素をいち早くとりいれたひとりなのだという。
ちなみに、水樹は英国ロックの雄・オアシスの大ファンでもあり、彼女のサポートメンバーには北島健二や渡辺格、阿部薫といった実力派のミュージシャンがいる。たとえば北島は、長戸大幸がビーイングを設立した年にデビューさせた3人組バンド・WHYの一員だった(ほかふたりは、長戸の弟と織田哲郎)。水樹はいわば、演歌を土台にJポップ、海外のロックなどを融合させ、アニソンの新たな地平を切り開いたわけだ。
そして、忘れてはならないのが、水樹や森口の大先輩にあたる存在だ。こちらは元祖「アニソンの女王」というべき堀江美都子。彼女もまた「日清ちびっこのど自慢」(フジテレビ)から世に出て、小6でアニメ歌手になった。「キャンディ・キャンディ」の主題歌でブレイクし、声優もこなすようになり「ハローこちらミッチ放送局」などのラジオでも人気を博していく。アニメ畑の女性がアイドル化する先駆けのような人でもある。