「13の理由」では、実際にドラマを見た後に自殺した子どもも出ており、このことについて今年、いくつか研究結果が発表されました。

 例えば、北米やオーストラリア、ヨーロッパの研究者たちが行った研究では、1999年から2017年にかけての自殺を調査しています(※)。すると、このドラマが放送された後3カ月(2017年4月~6月)の間、10代の自殺は、推計より13.3%増加していたことがわかったのです。一方、20代や30代以上では明らかな増加はみられませんでした。

 このような研究結果を受けて、ネットフリックスはこの7月、問題のシーンを削除しました。他にも、出演した俳優らによる注意喚起のメッセージ動画も作成されています。ただ、対応がなされたとはいえ、公開から削除までは2年以上かかっています。子どもが成長するにつれ、接するメディアの内容を完全に親がコントロールすることは困難で、好ましくないメディアに触れる可能性は想定しておく必要がありそうです。

 子どもにはついつい口うるさく注意したりしてしまいがちですが、日頃から、家のこと、友人関係のこと、学校のことなど、何でも話し合える親子関係をつくっていきたいと改めて感じました。

 また、厚生労働省は、平成30年3月から、自殺防止を目的としてSNSを活用した相談事業を開始しています。チャイルドライン、BONDプロジェクト、こころのホットチャット、よりそいチャットなどの相談サービスがあり、LINEなどで無料相談をすることができます。親に言いづらくても、このようなサービスにSOSを出すことができるよう、教えていくことも大切だと思います。

○森田麻里子(もりた・まりこ)/1987年生まれ。東京都出身。医師。2012年東京大学医学部医学科卒業。12年亀田総合病院にて初期研修を経て14年仙台厚生病院麻酔科。16年南相馬市立総合病院麻酔科に勤務。17年3月に第一子を出産。小児睡眠コンサルタント。Child Health Laboratory代表。

(※)Niederkrotenthaler T, Stack S, Till B, et al. Association of Increased Youth Suicides in the United States With the Release of 13 Reasons Why. JAMA Psychiatry. Published online May 29, 2019. doi:10.1001/jamapsychiatry.2019.0922

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