※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医

 強い日差しが照りつける夏は、日焼けが気になります。紫外線は、皮膚にしみ、しわ、たるみを増やし、皮膚がんの原因にもなります。京都大学医学部特定准教授で皮膚科医の大塚篤司医師が、紫外線の危険やそれを防ぐ日焼け止めについて解説します。

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 夏は皮膚科の待合室が混雑する季節です。汗をかくことであせもが増えますし、虫にも刺されます。アトピー性皮膚炎は夏に悪化する患者さんが多くいらっしゃいますし、世の中のお父さんたちの水虫が再発します。日焼け対策をせずにプールや海水浴をたっぷり楽しんでしまったため、日焼けの痛みで受診される方もいます。

 日焼けがひどくなると、それはもう「やけど」と同じです。

 皮膚が真っ赤になり水ぶくれができ、破けてしまうと傷になります。毎年、夏になると海水浴のあとの日焼けが悪化して寝られないと訴える患者さんが何人かいらっしゃいます。

 日焼けを起こす原因は、太陽光線の中の紫外線です。紫外線は皮膚がんの原因にもなります。そして、しみやしわの原因にもなります。

 太陽光を浴びることが健康によいイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。私も小さい頃は、太陽の日にあたり真っ黒になるまで遊ぶのが健康的であると教わってきました。太陽光線はビタミンDの合成に重要であり、ビタミンDが欠乏すると、くる病になります。くる病になると骨が伸びなくなります。そのため、子どもはできるだけ外で遊んで日にあたるのがよいとされてきました。

 しかし、ビタミンDの合成を太陽光に頼っていたのは随分と昔の話で、食生活が豊かになった現在は違います。ビタミンDは食事で十分量をとれるようになりました。そうなると、紫外線を積極的に浴びる理由はほとんどなくなり、むしろできるだけ避けたほうがよいことがわかります。

 紫外線を予防することがいかに大事か、論文をもとに解説しましょう。

「New England Journal of Medicine」という世界的に権威のある医学雑誌に掲載された症例です。69歳の男性の顔をご覧ください。(N Engl J Med 2012; 366:e25)

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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