![2019年6月、三重県伊賀市で清掃中に見つかったセアカゴケグモ (c)朝日新聞社](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/8/0/775mw/img_80263dd6e2811409cace2d3c6874dad580774.jpg)
![チョウを捕らえたヤミイロカニグモ(小野先生提供)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/8/4/840mw/img_8481050edbfd07ec937485f05e737aa4105005.jpg)
![日本各地でよくみられるネコハエトリ(小野先生提供)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/2/f/840mw/img_2f6c99c82fda9043c90f70efe83f615663702.jpg)
![クモ研究歴50年の小野展嗣さん](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/c/d/767mw/img_cd7ad2ca91281725018b55a593df2a6d74131.jpg)
じめじめした日々が去ると、本格的な夏到来。虫たちが活発になる季節でもある。虫のなかでも、カやハチ、ムカデなど毒をもつ虫は嫌われ者。なかでも生粋のハンターであるクモは、すべての種類が毒をもつ。たいていは餌となる昆虫専門の毒だが、なかにはセアカゴケグモなど人体に影響を及ぼす毒をもつクモもいる。今年も6月13日に千葉県船橋市で、7月3日に岐阜市でセアカゴケグモが発見された。学習まんが『バトル・ブレイブス 殺人ヘビと猛毒グモ』(7月5日発売)の監修者でクモ研究歴50年の国立科学博物館名誉研究員・小野展嗣さんは「特に子どもの場合、セアカゴゲグモ以外のクモの毒もあなどってはいけない」という。なぜだろうか?
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――夏場は親子で屋外活動やキャンプに出掛けたりすることが増えますが、気になるのが毒のある虫への対策です。先生の専門であるクモでは、毒グモとして有名なセアカゴゲグモが今年も各地で発見されていますね。
セアカゴケグモは約0.4ミリの牙をもっていて、それが皮膚にささって毒が入ります。しっかり咬まれないと毒は入りませんが、人間の神経系を侵す猛毒なので、咬まれたら死なないまでも大変なことにはなります。
セアカゴゲグモは、日本ではいる場所が決まっています。関西と福岡には結構たくさんいますが、首都圏にはいることはいるものの毎年発生するという場所はなく、咬まれる心配は少ないでしょう。
比較的新しい公園や、都心や海辺に作られた芝生の多い公園などに大発生することがあります。公園に発生するのは、照明があるから。照明の下に巣を作っていたクモはあかりに集まってくる餌となる昆虫をたくさん得られるわけです。セアカゴゲグモはヤスデでもなんでも食べますからすぐ大きくなって、一匹のメスが数百単位で卵を産む。駆除すると、成虫が何千匹も獲れた例もあります。
――咬まれない方法はありますか?
セアカゴゲグモも含め、クモは自分から人を襲ってくることは絶対にありません。だから、つかまなければいいんです。
クモにとっては、すべては餌か敵かしかない。餌とみると襲ってきますが、敵とわかると逃げる。セアカゴゲグモはすき間をみつけてその奥に巣をつくっていて、そこに逃げ込んでいきます。ですが掃除などで手を突っ込むと逃げ場を失って、人を咬んだり人の背中に入ったりするんです。
セアカゴケグモはもともとオーストラリアのクモなんですが、そこでは洗濯物にくっついて気づかないうちに体についてきてしまったというケースもあります。私が取材したなかでは、釣りをしている人が海辺の欄干に釣竿をおいていて、釣竿を持ったときに欄干にいたセアカゴケグモに咬まれたというケースがありました。オーストラリアにはセアカゴケグモの専門家がいて全国からの問い合わせに対応し、血清も準備されています。