総社市からはペット用品などを提供したが、ペットフードについては決まったブランドを与えている飼い主も多く、ほとんど使われなかったそうだ。車で避難してきた人が多く、必要な物は買い出しなどで調達していたという。

 市の同伴避難所には、最後の避難者が退所した18年9月9日まで、最大21世帯、犬20匹と5匹が避難した。「犬や猫もおとなしい子ばかりでした」と白神さん。飼い主がいる時はもちろん、自宅の片づけなどで飼い主が外出し、ペットが留守番をしている時も、トラブルはなかったという。

 全国的にも注目された総社市のペット同伴避難所だが、白神さんは「すごく吠える犬や、走り回る犬がいたら、クレームがあったかもしれません。今回は本当におとなしい犬や猫ばかりで、避難されている方もマナーを守ってくださったので、同伴避難所が運営できたのかなと思います」と話す。

 白神さんは言う。「当時はひどい暑さでしたが、もし気候がいい時期だったら、『ペットは外に避難させて』ということになったかもしれません。一概に、ペット同伴避難所もありですよ、とも言えません。水害や地震、火災など災害の内容や、その時々の状況によって、臨機応変に対応していく必要があるのではないでしょうか」

 そして、総社市にペット同伴避難所が設置されてから約10日後、倉敷市にも同伴避難所が開設された。場所は、大きな被害が出た倉敷市真備町の南にある穂井田小学校の体育館だ。小学校が夏休みに入った7月21日から、夏休み後の10月1日まで運営された。

 倉敷市防災推進課主任、栗原美代子さんによると、当時、総社市や倉敷市の避難所などに、ペットと同伴避難をしている市民が点在していた。ペットと車中泊を続けている飼い主もいて、気力、体力ともに限界状態だったため、これらの市民を1カ所で受け入れることになったという。

 穂井田小学校の同伴避難所では、最大11世帯、犬12匹と猫4匹が生活した。運営を担当した倉敷市選挙管理委員会事務局主幹、武和幸さんは「小学校の敷地内ということもあり、原則としてペットはケージの中で管理し、外に出す時はリードを着けてもらいました。敷地内でふん尿をさせない、散歩コースと児童の登下校ルートがかぶるので、散歩の際は気をつけるなどのルールを作りました」と話す。

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夜の遠吠えもなく静かだった