7月に入り、九州南部を中心大規模災害を引き起こすような大雨が断続的に降る恐れが高まっている。まだ記憶に新しいのが、昨年7月6日に発生した西日本豪雨。そこで行政主導では全国初と言われるペット同伴避難所が開設されたことを知っているだろうか。避難所はどのように運営されていたのか、トラブルは起きなかったのか。2019年5月、現地である岡山県を訪ね、避難所の担当者に当時の状況を聞いた。
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環境省などによると、11年の東日本大震災では、自宅に取り残されたり、飼い主とはぐれたりしたペットが放浪するケースが多発。ペットを保護した場合も、飼い主のもとへ返すのに苦労したという。このため、環境省はガイドラインなどで、飼い主に対し、災害時に自宅などから避難する場合は、ペットと同行避難するよう呼びかけている。
16年の熊本地震では、多くの被災者がペットと同行避難した。だが、避難者が共同生活を送る避難所には、動物が苦手な人やアレルギーを持つ人もいるため、飼い主の中には、避難所へ行くことをためらい、車中泊をしたり、倒壊の恐れがある自宅へ戻ったりするケースも見られた。
「(西日本豪雨で)高梁川がはんらんしそうな状態になった7月6日以降、いろいろな避難所を転々として、11日、久しぶりに(総社市役所の)庁舎に戻ってきました。そうしたら、『(西庁舎の)3階がペットの避難所になっているから、そこの担当をしてほしい』と言われ様子を見にいくと、部屋一面にブルーシートが敷いてあり、飼い主さんもペットもとても疲れているように見えました」
総社市スポーツ振興課課長補佐、白神和彦さんは、当時の状況を振り返る。61人が亡くなった(関連死12人を除く) 岡山県では、18年7月5日から雨が降り続き、7日にかけて総社市に隣接する倉敷市真備町を流れる小田川やその支流の堤防が決壊。総社市内では、最大46カ所の避難所が開設され、一時は真備地区からの避難者を含む7000人以上が避難した。