加護亜依(左)と辻希美、2004年撮影 (c)朝日新聞社
加護亜依(左)と辻希美、2004年撮影 (c)朝日新聞社
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 W(ダブルユー)が復活した。ハロー!プロジェクト全盛期を彩った辻希美・加護亜依によるユニットである。3月に行なわれたハロプロのイベント「ひなフェス 2019」にも登場していたが、6月26日「テレ東音楽祭2019」でじつに13年ぶりとなる地上波のテレビでの共演を果たした。その場面を見た人は、30代になったふたりに時の流れをしみじみと感じたのではないか。

こちらもいろいろあったミニモニ。の矢口真里

 というのも、ふたりはここ20年間で最も注目を浴びた「子供」たちだからだ。2000年3月、モーニング娘。のオーディションに合格したときはまだ12歳の小学生。その前年に加入した後藤真希も最年少メンバー(13歳・中2)として話題になったが「ゴマキ」が大人っぽいタイプだったのに対し「辻加護」は年相応、ともすればむしろ子供っぽいタイプだった。そこを最大の武器に、ふたりは芸能界を席巻していくわけだ。

 同年5月、モー娘。のシングル「ハッピーサマーウェディング」でデビュー。7月には矢口真里、ミカとともに身長150センチ以下が条件のユニット「ミニモニ。」を結成して、翌年1月、シングル「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」をリリースした。ふたりにはロリコン嗜好の男性ファンもついたが、誰よりも支持をしたのは小中学生あるいはそれ以下の女子だ。国民的グループでお姉さんたちに混じって歌い踊り、自分たちと変わらない小柄な体型ではしゃぐ姿に親しみと憧れを抱いたのである。

■双子じゃないけど双子みたい

 ハロプロはこれをチャンスと見て、低年齢層へのアピールを強めた。コミックやアニメ、ゲームとの連携を積極的に行ない『ミニモニ。もじかずプリントだぴょん!―もじ・かずぐんぐんドリル』のような幼児向け学習絵本も出版された。なかでも、象徴的だったのが「バカ殿様とミニモニ姫。」名義で出されたCD「アイ~ン体操」だろう。ミニモニ。と志村けんとのコラボだ。

 アイドルとドリフターズ的笑いの歴史は長く、年頃の女性が恥ずかしそうにコントを演じるのはおなじみの光景でもあった。しかし、辻加護の場合は「昔、好きでした」ではなく「今も大好き」という世代。そろってお笑いが趣味でもあり、ふたりは嬉々として「アイ~ン」などのギャグに全力投球した。こうした姿を、低年齢層の女子たちがこぞってマネすることに。こうして、空前絶後の「子供たちの子供たちによる子供たちのためのアイドル」が誕生したのである。

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