もう一つ多いのは、かみ合わせの異常によるものです。例えば上下の歯の位置関係に問題が起こり、一部の歯に強い力がかかってしまうと歯がもろくなり、さまざまな刺激に弱くなります。歯ブラシによる刺激もその一つで、強くこすっているうちに次第に歯根が露出してきます。

 また、歯ぎしりや食いしばりで歯に力がかかる状態が続いていると、エナメル質が削られ、象牙質が露出して知覚過敏が起こることがあります。

 象牙質知覚過敏症が疑われた場合、歯科ではまず、X線検査をしてむし歯の有無を確認します。むし歯がないとわかったら、次にどの部分に知覚過敏が起こっているかを専用の器具から風を疑わしい場所にふきつけて、確認します。患部にあたると患者さんが「ウッ」とか、「あっ! そこそこ」となるのですぐわかります。

 治療は露出した象牙質の表面を歯科用の接着剤でコーティングする方法、象牙細管の穴に歯と同じような成分をしみこませて(表面処理剤)封鎖する方法などがあります。いずれも歯髄への経路を遮断でき、即効性が期待できます。

 症状が軽い患者さんには、表面処理剤の入った知覚過敏予防効果のある歯磨き粉を紹介することもあります。見本をお渡しして2週間くらい使ってもらい、よかったら市販のものをお店で購入してもらいます。

 このように紹介すると、簡単によくなる印象を受けるかもしれませんが、進行してしまった象牙質知覚過敏症では、むし歯と同様に歯髄を抜く、つまり神経を取る治療をしないと症状が治まらないケースもあります。

 これからが夏本番。冷たいものをおいしくいただくためにも、症状のある方は早めに治療をすることをおすすめします。

○若林健史(わかばやし・けんじ) 歯科医師。医療法人社団真健会(若林歯科医院、オーラルケアクリニック青山)理事長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演

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