新幹線以外では、1981年の神戸新交通ポートアイランド線への設置が日本最初である。同線などの新交通システムは無人運転を行うため、安全上ホームドアの設置が必要だったのだ。同線で採用されたのは、天井までドアがある「フルスクリーン型」である。

 このフルスクリーン型は東京メトロ南北線など、通常型の鉄道でも採用されたものの、導入費用が高いこともあり、胸部までの高さを持った「可動式ホーム柵」型ホームドアが、各地で採用されていく。2006年にバリアフリー新法が成立し、移動円滑化基準にホームドア、あるいは可動式ホーム柵が加えられたこともあり、各鉄道会社で、こうした設備の試験や本採用が進むことになった。

 初期のホームドアは扉の位置が一定の車両にしか対応していなかった。ホームドア導入当時のJR山手線は4扉車と6扉車が混在しており、6扉車の部分にはホームドアが設置できない問題もあった。こうしたことから、山手線では2010年から6扉車2両を新造した4扉車に置き換え、新型のE235系電車では当初から6扉車を設けないなど、ホームドアの設置は車両側にも影響していった。

 現在でもホームドアの進歩は続く。東京メトロ東西線では、竹橋~高田馬場駅間で「大開口ホーム柵」が設置されている。東西線は混雑が激しいため、通常の4扉車では扉幅1mのところ、1.3mにして乗降効率を高めた車両を一部で導入している。そのため、どちらの扉幅でも対応できるホームドアとして、開発されたものである。

 扉位置が違う車両に対するホームドアは試行錯誤が続けられている。東京メトロ千代田線では、4扉車のホームドア位置に対応しない小田急電鉄の特急ロマンスカーが乗り入れており、ロマンスカーにドアがない箇所のホームドアを締め切りにするなど、特殊な対応をしている。

 また、京急電鉄三浦海岸駅で試行された「どこでもドア」は、車両の扉数に合わせて開くホームドア扉の数が変わる新型ホームドアである。

 JR西日本の高槻駅に採用された新型ホームドアは、横開きのドアではなく、ホーム端を仕切るロープが、乗客の頭上へと上昇して乗降可能となる最新型である。このタイプは横開きの扉式よりも開口部を広く取れることもあり、2扉の特急形電車から4扉の通勤形電車まで、問題なく対応できるということで注目されている。

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人身事故を未然に防ぎ、遺族や鉄道会社の負担を減らす