焦点距離分の1秒以上のシャッタースピードにするのがブレを抑える基本。APS-C判などでは35ミリ判換算の焦点距離で考えて設定する(イラスト/やまもと妹子)
焦点距離分の1秒以上のシャッタースピードにするのがブレを抑える基本。APS-C判などでは35ミリ判換算の焦点距離で考えて設定する(イラスト/やまもと妹子)
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三脚を使えば、実質的に手ブレは発生しない。ただし、本文に書いたように、適切なパイプ径のものを正しく使いたい(イラスト/やまもと妹子)
三脚を使えば、実質的に手ブレは発生しない。ただし、本文に書いたように、適切なパイプ径のものを正しく使いたい(イラスト/やまもと妹子)

 もともとカメラは三脚に据え付けて使うもの……というのは歴史の話で、手持ち撮影を基本としたライカ判から発展してきた、今のデジタル一眼カメラは、やはり手持ちでの撮影を基本として作られている。多くのカメラでシャッターボタンを押す右手側が持ちやすい形状になっていることからも明白だ。とはいえ、手持ちで撮影をすると手ブレという失敗に結びつくこともある。

【三脚のチェックポイントをまとめたイラストはこちら】

 この失敗を避けるため、カメラメーカー各社は手ブレ補正機構をカメラやレンズに搭載するとともに、撮影する感度をより高感度化し、わずかな光の中でも、ブレがないシャッタースピードに設定できるようにしている。道具の進化でカバーできる手ブレだが、その原因や対策を知れば、より失敗を避けられる。遅いシャッター速度のまま、偶然ブレないで撮れることを期待して、シャッターを何枚も切ったとしても、1枚も静止した写真を撮れない可能性もある。十分なシャッター速度に設定するか、ブレない工夫をしたい。

■シャッター速度をブレない値にする

 手ブレを防ぐ基本は、シャッター速度を速くすればいい。ブレが写らない短時間で露光する。一般に手ブレが起きないとされているのは、35ミリ判換算で、焦点距離分の1秒といわれている。焦点距離50ミリのレンズなら50分の1秒、200ミリのレンズなら200分の1秒というように望遠レンズになればなるほど、速いシャッタースピードが必要となる。

 もちろん、利用できる絞りや感度の兼ね合いもあり、シーンによっては上げられるシャッター速度にも限界がある。暗い場所での撮影では、よりF値の明るいレンズや、高感度の設定が必要だ。

 ただし、これは経験則のようなもので、人によっても、カメラやレンズによっても違う。手ブレ補正が2段分といった場合、50ミリレンズなら50分の1秒の2段分、12.5分の1秒でもブレにくいということになる。人によっては、50ミリレンズで100分の1秒欲しいという人もいるだろう。自分なりの目安をみつけたい。覚えておけば、無料ですぐ実践できて、かつ効果的な方法だ。

 もちろん、カメラをしっかり構えることで、シャッター速度が遅くなってもブレにくくなる。わきを締めたり、シャッターを切るときに息を止めたりすると、手ブレしにくいといわれるが、基本的にはシャッターを切るときにカメラが動かないように、安定した構えをすればいい。練習あるのみだ。

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「しっかりした三脚」の使い方