「地面がデコボコに見えた。だから立っているだけで精一杯。プレーなんてできる状態じゃなかった」
楽天・今江年晶は経験したことのない異変を感じた。診断結果は、右眼球中心性漿液性脈絡網膜症。基本的には安静にしていることが治療方法と言われている。
「前兆はあった。黒バックの上の白いものが歪んで見えた。白いものが黄色に見えたりもした。でも少し時間が経つと普通の状態になったから、大丈夫だと。さすがに地面がデコボコに感じた時は、なんかあると思った」
■突然、発症した目の病気からの完全復帰を目指して
今江はオフに発症した目の病気の治療を行いながら、一軍復帰を目指していた。
「なにが原因だったのかはわからない。通院や静養したりして、半月か一カ月くらいで以前と変わらなくなった。オープン戦終盤には、目はまったく問題なくなった。でも開幕時は野球選手としてのコンディションが上がってこなかった。これまでもそうですが、寒いのが苦手。今年の仙台は本当に寒かった。4月に入って暖かくなり、身体も動くようになった」
聞き慣れない病名だったこともあり、周囲の心配も大きかったが、順調に回復している。
「安静とは言っても身体を動かすことはできた。でも、ウエイトをあまりすることはなかった。筋肉量が変化したりしてバランスが崩れるのが怖かった。自分の今までやってきた感覚を大事にしたいというのがある。バランスが崩れると走攻守のプレーすべてに悪影響が出る」
自らをトータルのバランスで勝負する選手だと認識している。療養中も大事にしたのは、プロ生活で培ってきたバランスや実戦感覚だ。
「守備はこれまでやってきて染み付いているものがある。打球に対して身体が素直に反応してくる。問題はやはり感覚の部分が大きい打撃。とらえた、と思っても微妙なズレも生じる。目がおかしかったのも影響はあるかもしれない」
「よく言われる野球での実戦感覚。特に打撃に関しては、ある程度、打席に立って感覚を戻していかないといけない。二軍レベルではできるようになった。あとは一軍レベルでも感覚を戻して対応すること」