イラスト/河島正進
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 電撃ネットワークのリーダー南部虎弾(67)が、腎移植手術を受けることを明らかにした。ドナーは妻で、手術を受けるのは5月16日と報じられている。腎移植は、人工透析とならぶ末期腎不全の治療法の一つ。成功すれば、最も普通に近い生活ができる治療法だ。南部は5、6年前に糖尿病と診断され、最近になり主治医から人工透析を勧められたが、腎移植を選んだ。血液型は自身がO型で妻がA型。「適合検査をやったら、血液型が違っても移植できることに驚いた」と話している。

 週刊朝日ムック『「このままだと人工透析です」と言われたら読む腎臓病の本』では、腎移植について、東邦大学医療センター大森病院腎センター教授の酒井謙医師に取材している。ここではその一部を紹介する。

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 腎移植には病気や事故で亡くなった人から腎臓の提供を受ける「献(けん)腎移植」と、生きている人から片側の腎臓のみ提供を受ける「生体腎移植」があります。腎臓の提供者をドナー、提供を受ける人をレシピエントと呼びます。日本では献腎移植が年間約200例で推移、生体腎移植は少しずつ増え続け、2017年の統計で年間約1500例です。

 レシピエントの年齢には上限はありません。ただし、高齢の患者は人工透析を選択する傾向があり、移植に至る年齢(小児も含む)は平均46~48歳と比較的、若いです。

 生体腎移植が増えている背景には免疫抑制剤の進歩で、移植後の拒絶反応を抑えやすくなり、血液型不適合の移植が可能になったこと、ドナーとして認められている範囲であれば、HLA(ヒト白血球抗原)の型が不適合である夫婦間でも移植ができるようになったこと、などがあります。

 生体腎移植では80歳以下で健康に問題がなければドナーになることができます。ただし、摘出手術後、GFRが約15%低下することから、GFRが80以上(少なくとも70以上)は必要です。

■献腎移植の待機期間はやや短くなっている

 献腎移植を希望する場合、移植をおこなう病院を通じて日本臓器移植ネットワークに登録する必要があります。日本では臓器の提供が少なく、待機年数が長いです。

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登録者数は減少傾向