空前の筋トレブーム。しかし、「トレーニングを頑張っているのに、筋肉がつかない……」と悩んでいる人は、老若男女問わず多いだろう。これまで3万人以上のアスリートの栄養指導を行ってきた管理栄養士の川端理香氏によると、筋肉をつくるためには、“良質たんぱく質”が何かを知り、日々の食事に効率的に取り入れることが必須と指摘。そのための知識とコツを、著書『筋肉の栄養学』(朝日新書)よりお届けする。
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■筋肉をつけるのに欠かせない「良質たんぱく質」
良質たんぱく質とは、必須アミノ酸が適切な割合で含まれているたんぱく質のことです。
たんぱく質はアミノ酸スコアで評価されます。必須アミノ酸が適切な割合で含まれているかの指標で、100点が最高。高いほど吸収がよく、良質たんぱく質ということになります。
■「良質たんぱく質=鶏肉」は古い?
豚肉やレバーなどの肉類や、まぐろや鮭などの魚介類、卵、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、そして大豆などはアミノ酸スコアが100です。「肉の中では、鶏肉が良質たんぱく質で、ほかの肉はそうでもない」と思っていた方もいるかもしれませんが、そうではありません。
また、豆製品のたんぱく質は吸収が落ちると思っていた人もいるのではないでしょうか。確かに豆製品のアミノ酸スコアは低いといわれた時代もありましたが、それは過去の話。1985年の基準値からは豆製品のアミノ酸スコアも100です。
さらに、これまでアミノ酸スコアのみでたんぱく質を評価してきた人は、「たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコア」も覚えておくとよいでしょう。
これは従来のアミノ酸スコアに消化吸収率を考慮して、たんぱく質を評価したものなのです。1990年にFAO(国際連合食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)がアミノ酸スコアの信頼性を高めるために推奨し、1.0が最高値です。
このスコアでは豆製品でも大豆は1.0ですが、えんどう豆などのほかの豆類はスコアが少し低いのです。アミノ酸スコアだけではわからなかったことが、「たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコア」を使うことで、豆類も種類によって筋肉を作る効率が違い、どれがよいのかがわかります。