西武・内海哲也 (c)朝日新聞社
西武・内海哲也 (c)朝日新聞社
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 埼玉西武が頂点を目指すために最適な人材がやってきた。内海哲也である。

 常勝・巨人でエースとして投げ続けてきたサウスポー。どんな時でも諦めない姿勢や周囲を気遣う兄貴分としての人間性がクローズアップされる。しかし、巨人在籍15年で133勝を挙げた左腕の実力はいまだに錆びついていない。

 多くの球界関係者が動向に注目する中、2人の球界OB左腕も熱い視線を送る。広島OB大野豊氏と横浜OB野村弘樹氏が語ってくれた。

──ストレートを活用するための下半身の粘り。

 大野氏は広島一筋22年間で148勝138セーブを記録。威力あるストレートと鋭く落ちるフォークなどを武器にしていた。

「内海は力よりキレと緩急で勝負するタイプ。大きく曲がるカーブのようなスライダーとチェンジアップを活用する。そのためにはストレートをある程度、打者に見せることができないといけない。ストレートが良くないと、勝負球の2つを投げ急いでしまう。勝負が早くなると、打者に見極められたりする。そういう悪循環に陥らない投球をすることが大事」

「投球フォームに独特なものがある。スムーズに流れるような形ではなく、二段モーションというか、一瞬止まったような状態になる。ここでしっかり重心をためないといけないから、下半身の粘りが重要。年齢を重ねてキツイとは思うが、下半身のトレーニングをしっかりすることでどんどん良くなる部分だから」

──全力と力むことを履き違えないこと。

 野村氏はPL学園高では甲子園春夏連覇を成し遂げた時代のエース。大洋、横浜では多彩な変化球と精密な制球力を駆使、15年間で101勝を挙げた。

「どんな投手に対してもいえることだけど、ストレートというのが大事になる。パワー系であろうが、内海のようなキレで勝負するタイプだろうが、それは変わらない。年齢とともに、ストレートの球威は落ちてきている。それを何でカバーするかということ。具体的には身体全体を使って腕を振ってストレートを投げるということ。これができれば変化球も必ず活きてくる」

「ただ勘違いしてはいけないのが、全力で投げることと力むということはまったく違う。身体をしっかり使えれば腕も振れて、全力で投げることができる。ただし余計な力が入ってしまい力むという状態になると、腕も振れないしストレートも走らない。身体にストレスもかかるので故障にもつながる」

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まだまだ戦力として活躍できる投手