開通当初、運行は週末だけで、運賃も無料という話だった。全面運休から7年……。カンボジア人の頭のなかから列車は消えてしまっている可能性もある。キャンペーンは必要かもしれないとは思った。
この区間に乗ったのは、開通から1年後。無料期間は終わり、7ドルの運賃をとるようになっていたが、運行は相変わらず週末のみだった。
そのうちに2018年、タイ国境に近いポイペトとシソポン間、そしてプノンペンの空港とプノンペン駅間に列車が動きはじめた。
運休から9年、ようやくかつての路線が全面復旧しそうだ……。そんな気がした。
昨年(2018年)の暮れ、プノンペンの空港からプノンペン駅までの列車に乗った。空港の駅員に訊くと、「2019年1月1日に、全線で列車が動きはじめる」と胸を張った。
ところが列車は到着したプノンペン駅は改修がはじまったばかりだった。切符売り場はあるが、待合室はとり壊されていた。
「駅の改修はいつ終わるんですか」
駅員に訊いたが、頼りない笑みを浮かべるだけだった。シアヌークビルに向かう路線も、週末のみの運行のままだった。駅舎の改修と列車の全面復活は、たしかに別のことだが、普通は日程を合わせるものではないか。いや、日本ではそうする。
なぜか苛立つ。
年が明けたが、カンボジアの列車が全面復活した話は聞こえてこない。
運休から10年。カンボジアの全鉄道は600キロ弱。そのうち、列車が走りはじめたのは約半分ほどだ。