中日・松坂に挨拶する根尾 (c)朝日新聞社
中日・松坂に挨拶する根尾 (c)朝日新聞社
グッズ売り場を拡張した中日・北谷キャンプ=沖縄・北谷(撮影・喜瀬雅則)
グッズ売り場を拡張した中日・北谷キャンプ=沖縄・北谷(撮影・喜瀬雅則)
松坂&根尾グッズを買い求めるファン=沖縄・北谷(撮影・喜瀬雅則)
松坂&根尾グッズを買い求めるファン=沖縄・北谷(撮影・喜瀬雅則)

 ファンが集まれば、そこには『カネ』が落ちる。

 プロスポーツの世界における、経営の好循環を創り出す明解な“定理”が、中日の沖縄・北谷キャンプで、現在進行形で、証明されつつある。

 『松坂大輔』と『根尾昂』の『2大スター』が、早くも絶大な経済効果を生み出しているのだ。

 1998年、横浜高のエースとして春夏の甲子園を制覇した「平成の怪物」こと、松坂大輔。メジャーから帰国した2015年、ソフトバンクに入団しながら、3年間で1軍登板1試合のみ。右肩と右肘の手術をすでに1度ずつ経験し「もう終わった」とまでささやかれながら、中日にテスト入団した昨季、6勝を挙げ、カムバック賞も受賞。今季からは西武時代からの代名詞ともいえる、背番号「18」を背負う。

 その20年後の2018年、平成最後の甲子園で春夏連覇を果たした大阪桐蔭高で、投打の二刀流で名をはせたのが根尾昂。学業優秀、読書家で、両親は医者。岐阜県生まれで、小6の時にはドラゴンズジュニアチームで活躍した、地元育ちのスター。その血筋の良さとスマートな言動はいまや“理想の息子像”ともいわれ、老若男女を問わず、大きな人気を集めている。

 このように、ドラマ性を帯びた2つの“強力アイコン”の存在が、今キャンプでの盛り上がりを呼び起こしている。その“予兆”は、昨年11月のファン感謝デーにあった。昨季5位。6年連続のBクラスに低迷しながら、3万6000人のファンが、昨季最後の大イベントに集まったのだ。例年は3万人前後だから、約2割増というわけだ。

 「シーズン中も、松坂が投げたらお客さんが来る。チーム成績がいいというわけでもなかったのに、ファン感謝デーのお客さんを見て、これは『来年への期待』だと思ったんです」。

 そう明かすのは、中日球団の営業本部企画部・北野勝則課長待遇だった。元中日のリリーフ左腕だった北野氏は昨年、春季キャンプからシーズンにかけ、絶大な「松坂効果」を実感してきた。昨季、中日の主催試合での1試合平均は、前年比8.3%増となる3万231人。これが、松坂が登板したナゴヤドームの9試合に限ると、1試合平均は3万3043人と、さらに数字が跳ね上がったのだ。

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綿密な準備が功を奏す