こうした数字を列挙するだけでも明確だろう。「松坂&根尾効果」は、計り知れないものがある。

 さて、松坂グッズと根尾グッズ。気になるのは、どっちの売り上げが上なのか。「これがいい勝負なんです」と北野さん。松坂と根尾の“トップ争い”に引っ張られ、他の選手のグッズも売れていく。まさに相乗効果。売り切れたら困るとばかりに、ファンは練習前から行列を作る。そのファン心理も、北野さんは痛いほど分かるだけに「せっかく沖縄にまで来て頂いているので、できるだけサービスをしたい」と、行列が長くなると、開店時刻も早める措置を取っている。

 こうした熱心なファンが、グッズを北谷で購入してA組の練習を見ると、引き続いてB組の読谷にいる根尾を見に行くというのが、今季のトレンドだ。だから読谷にも、常に400~500人の観客が詰めかける。北谷でも、3日の日曜日の観衆は5500人を数えた。例年なら、多くても3千人だから、これもほぼ倍増だ。

 6年連続Bクラスと低迷の続く中日。しかし、今季は松坂と根尾の“空前のW効果”で、まずは2019年、キャンプの主役の座へと、一気に躍り出たようだ。(文・喜瀬雅則)

●プロフィール
喜瀬雅則
1967年、神戸生まれの神戸育ち。関西学院大卒。サンケイスポーツ~産経新聞で野球担当22年。その間、阪神、近鉄、オリックス、中日、ソフトバンク、アマ野球の担当を歴任。産経夕刊の連載「独立リーグの現状」で2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。2016年1月、独立L高知のユニークな球団戦略を描いた初著書「牛を飼う球団」(小学館)出版。産経新聞社退社後の2017年8月からフリーのスポーツライターとして野球取材をメーンに活動中。