福田氏とは、昨年11月に官房長官補佐官を辞任した福田隆之氏のこと。福田氏は空港や水道事業などのPFI(民間資金を活用した社会資本整備)に精通している民間人として菅義偉官房長官に登用されたが、昨年の臨時国会開幕前にフランスの水道事業者から接待を受けていた疑惑が持ち上がり、その直後に辞任が発表された。「国会の答弁に耐えられないので、解任された」(官邸関係者)と言われている。

 福田氏は、オリックスの社外取締役である竹中平蔵氏にもかわいがられていて、空港や水道のコンセッション方式(運営権の条件付き長期売却)導入の旗振り役だった。現在進められている千歳空港など北海道内の7空港の一括民営化では、KPAの山谷社長や竹中氏と一緒に北海道内で宣伝活動をしていたこともある。

 実は、オリックスとバンシの企業連合は北海道内の空港運営にも意欲を見せていた。両社のプランはすでに入札の一次審査を通過していて、関空での実績もあったことから有力候補にあがっていた。余談になるが、竹中氏は過去には阪神タイガースファンを自称していたが、北海道の空港民営化が話題になりはじめたころから、メディアに対して北海道日本ハムファイターズのファンを宣言するようになった。ところが、昨年12月下旬、オリックスとバンシは突如として審査からの撤退を表明。表向きの理由は「災害対応に集中するため」とされているが、関係者の間では「高潮被害の対応の失態が広く知られてしまい、両社の亀裂が修復できていない。北海道どころではなくなったのでは」とささやかれている。

 KAPの企業統治の問題は災害の前から指摘されていた。「上司に意見を言う人物を人事で冷遇され、コストカットで利用者の利便性向上につながる投資はされなかった。航空会社からの批判も多い」(政府関係者)という。

 文書には、こんなことも書かれていた。

<経営の苦しい時期の関空を支えてきた事業パートナーとなる空港利用者を離反させ、ノウハウを持つ社員をないがしろにして離反させ、むしろ民営化前より経営基盤が悪化している>

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