また、島外に出る方々の輸送につきましては、バス25台(1台あたり定員52名)と船3隻(1隻あたり定員、2隻は定員110名、1隻は定員115名)を5日早朝6時からピストン輸送で運航開始できるよう準備が完了しており、その時点で島外に出ることを希望されていた8000人規模の輸送ができる能力に問題はございませんでした。
しかしながら、当時連絡橋が一車線のみの相互片側通行であったこと、また、対岸となる泉佐野も被害を受け、泉佐野市側の高速道路出口における交通規制に加え、市内における停電による信号停止や倒木による道路の不通など、様々な要因が重なり、激しい渋滞が対岸~連絡橋~空港島内に断続的発生したことが輸送に大きな影響を与えたものです。
弊社といたしましては、当時の状況の中で、連絡橋の交通を管轄する警察及びNEXCO西日本様にもご協力をいただき、最善を尽くしていただいたものと認識しております。
また、従業員の帰宅につきまして、空港内の事業者数は355者、1万7363人の従業員が勤務しておりますが、日頃から「お客様優先」の意識をもって業務にあたっており、被災翌日以降も泊まり込みで職務に当たった者が多数でした。ただ一方、体調の問題等から帰宅を必要とする従業員も多数残留しておりましたのも事実です。このような状況において、弊社といたしましては、お客様を優先しつつ、これら帰宅を必要とする従業員についても安全に空港外に輸送いたしました。渋滞の原因については、帰宅人数の多寡にかかわるものではなく、上記のとおり、両岸及び連絡橋が被災したことによる様々な要因が重なったことで起きたものであり、ご指摘の原因については当たらないものと認識しております。
──被災当時、情報公開のあり方をめぐって社内で対立があったことは事実でしょうか。
関西国際空港をご利用のお客様への情報開示の重要性についての認識は出身母体の違いに関わらず、弊社全役職員の共通した理解です。インフラとしての空港運営企業として、未復旧の施設への立ち入りによる危険回避、テロなどの未然防止など安全保障の観点から、一部の施設などの被災状況等についてメディアの方々に開示できない状況や撮影をお断りせざるを得ない状況もございましたが、ご利用のお客様に対して必要となる情報を早期に公表するという点において役職員間において姿勢・認識の相違はございません。