2018年10月に行われた箱根駅伝の予選会(c)朝日新聞社
2018年10月に行われた箱根駅伝の予選会(c)朝日新聞社

 箱根駅伝。正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」である。関東学連(関東学生陸上競技連盟)が主催する大会で、出場校資格は関東学連加盟校(関東学連の規約「第2章組織」の「茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・山梨の各都県に所在する大学、大学院、短期大学及び高等専門学校」)となっている。つまり、これ以外の地域にある大学は出場できない。

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 箱根駅伝は関東地方の大学に出場が限られているが、大会出場校のエントリー選手の出身高校をみると、上位には西日本の高校が目立つ。

 1位の九州学院(本)は、青山学院大、日本体育大、東海大、山梨学院大、大東文化大などに選手を送り出した。2018年全国高校駅伝では4位だった。

 5位の倉敷(岡山)、世羅(広島)は、上記の高校駅伝の優勝・準優勝校である。倉敷からは東海大、明治大、中央大など、世羅からは青山学院大、早稲田大、東海大などに進んでいる。

 西日本出身の高校の出身選手が多いのは、箱根駅伝の特徴でもある。全国各地域の強豪校の選手が、箱根駅伝出場をめざして関東の大学に進む傾向が年々強まっている。実際、「関西地区の高校生で5000メートル走記録上位50人は、すべて関東の大学に進む」とも言われているほどだ。

 箱根駅伝は、いまや正月の一大イベントとして全国から注目され、大学にすれば知名度を高められる最高の舞台となっている。したがって関西や九州の大学のなかには、箱根駅伝に参加したいと切望するところは少なくない。箱根で駅伝強豪校と競いたいという純粋な思いも、大学のブランド力を上げる絶好の機会という打算的な考えもあるだろう。

 2018年2月、青山学院大陸上競技部監督の原晋氏は日本記者クラブの会見で、箱根駅伝は「公共の文化財」であると語り、大会の全国化に全面的に賛成する考えを示した。箱根駅伝4連覇中の大学の指導者である。その影響は大きい。

 関東学連では、2024年に迎える箱根駅伝100回記念大会を全国化することも検討されているという。だが、現時点ではまだ何も決定していない。

 大学当事者はどう考えているのだろうか。いくつかの有力な大学陸上競技部指導者にたずねてみた。

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全国大会化「賛成」は…