まずは全国大会化「賛成」の意見である。関西の大学が多かった。
近畿大体育会陸上競技部コーチの佐川和則氏(経営学部教授)の意見を紹介しよう。
「関西を含め、全国の優秀な選手が関東に流れてしまっている現状に歯止めがかかればとの思いから、箱根駅伝の全国大会化に賛成します。また、今春設立が予定されている大学スポーツ協会(日本版NCAA)に日本学生陸上競技連合が加盟すれば展開があるかもしれないと期待しています。大学スポーツ協会が高校生ランナーのリクルートに際し一定のルール(入学者の学業成績の基準設定、入学時の減免措置の統一化、各大学の入学者数の限定など)を決めることができれば、関東一極集中は徐々に緩和されるでしょう」
関西学院大陸上競技部監督の竹原純一氏は次のように話す。
「各大学で(箱根駅伝各区間の)21キロメートル以上を走れる選手を10人以上育て、そろえるのは時間がかかるでしょう。だが、関東への選手の偏りを少しでもなくすため、関西地区はもちろんのこと、全国の大学に門戸を開くのはいいことだと思います。各地区学連主催の駅伝にも影響はあるでしょうが」
第一工業大(鹿児島県)は2018年の全日本大学駅伝で21位だった。2017年は22位で九州ナンバー1となっている。2008年には7位、2009年には10位につけた実績がある。陸上競技部の岩元泉氏が語る。
「視聴率の高い箱根駅伝に出られるチャンスがあるとなれば、大学広報にもなり、九州の高校生も九州管内の大学で箱根駅伝を目指す学生も増えて、地方大学の競技力向上にも繋がると考えられます」
次に、全国大会化「反対」の意見を紹介しよう。法政大陸上競技部駅伝監督の坪田智夫氏はこう説明する。
「スポーツ界にとっては注目度の高い大会で、全国の学生の出場希望は理解できるが、関東の大学に進学すれば出場のチャンスは全国の高校生にある。また全国の大学に枠を広げれば主催が関東学連ではなく日本学生陸上競技連合に移り、基本的な運営を一からやり直すことにもなる。審判や補助員も全国の学連登録者が対象となり負担は大きいのではないか」