佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
佐藤二朗(さとう・じろう)/1969年、愛知県生まれ。俳優、脚本家。ドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズの仏役や「幼獣マメシバ」シリーズで芝二郎役など個性的な役で人気を集める。ツイッターの投稿をまとめた著書『のれんをくぐると、佐藤二朗』(山下書店)のほか、96年に旗揚げした演劇ユニット「ちからわざ」では脚本・出演を手がける
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(写真/getty images)
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 個性派俳優、佐藤二朗さんが日々の仕事や生活の中で感じているジローイズムをお届けします。

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 この原稿を書いている現在、僕は野暮用でタイにおります。とはいえタイに野暮用で行くほど僕のフットワークは軽くないので、要するに、とある映画の撮影で来ております。

 実は僕、今から30年ほど前、色んな国に行った経験があるのです。オーストラリア、インドネシア、パラオ、ヤップ、解体直前のユーゴスラビア……。そうなんです。僕、こう見えて、バリバリの国際人、国際派なんです。

 ごめんなさいすぐバレる嘘をつきました。正直言いますと僕、外国の人、苦手です。だって緊張するから。すっごい緊張するから。関西の人と話す時も「なんか面白いこと言わないと怒られそう」と軽い緊張感が伴いますが、外国人と接する時の緊張感はその比じゃありません。「は? なに言ってるか分かんない。何、この彫りが浅いにも程がある、壁のような顔をした日本人は?」と思われそうで、とにかく緊張するのです。

 ぶっちゃけ、言葉が通じないってそれだけで、とてつもなく高い壁だと思うんです。自宅では「オーマイガーッ」とか「ジーザス!」とか、主に洋画で学んだ英語を、妻が辟易するくらい多用するのに、横浜のホテルのエレベーターで白人男性2人が乗ってきたら、ずっと俯いたまま押し黙った僕を、妻は今でも笑いの種にします。

 かようにメンタルも肉体もなかなか海を越えない「THE日本人」である僕が、なぜ30年前に幾つかの国に行った経験があるかというと、今までコレ、殆ど言ってないことなんですが、僕、大学生の時に、「地球キャッチミー」という朝日放送が作っていたテレビ番組、海外に行く旅番組に出ていたのです。

 当時、長野県で大学生だった僕は、役者になるためにどうしたらいいか全く分からず、とりあえず東京の小さな事務所に名前だけ登録していました。その事務所から、ある日「受けに行け」と言われて、よく分からぬまま受けに行ったのが、この番組のオーディションでした。

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その名も「綱引き隊」