だが近年ドラフト1巡で指名された高卒投手のその後をチェックしてみると、非常に恐ろしいデータが浮かび上がってくると、記事では警鐘を鳴らしている。11年から14年のドラフトで1巡指名された投手は合計47人いるが、その過半数の24人がメジャーデビューならず。ドラフト指名されたチームでメジャーまで昇格できたのはたったの8人しかいない。19人がひじか肩の手術を経験し、6人がすでに球界を去っているという。

 特に悲惨なのが12年組で、ドラフト1巡指名された高卒投手15人のうち、指名球団でメジャーデビューを果たしたのはツインズのホセ・ベリオスのみ。7人が25歳までにトミー・ジョン手術ないし関節唇の手術を余儀なくされた。

 同記事では、こうした近年の高卒投手の故障率の高さの原因は球速にあると分析している。球速をアップするトレーニング方法が普及し、プロ入りを目指す少年たちは来る日も来る日もそれを繰り返す。やがてカーブなどの変化球を覚えるようになると、負担はいっそう重くなる悪循環を生んでしまうというのだ。

 大学やMLBのスカウトたちが球速を重視する傾向がそれに拍車をかける。球速が大きな武器になるというのはデータでも実証されており、18年のMLBではフォーシームの球速が94マイル以下だった場合は、打者の平均打率.274、長打率.490だったのに対し、95マイル以上ならば打率.233、長打率.378と、大きな差が生じている。

 ちなみにMLBの投手の速球の平均球速は93マイル。一方で11年から18年までにドラフト全体30位以内の指名を受けた高卒投手40人の平均球速は95.1マイルで、38人までが93マイル以上を計時していたという。同じ期間にドラフト1巡指名を受けた高卒投手まで枠を広げると、合計78人のうち60人が指名時の平均球速でMLB平均以上の94マイルだった。ここ2年の15人に限れば全員がそうだったという。

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