43日間に及ぶ日本滞在中、詳しい日記を残しています。そこには日本の情景の美しさと文化の洗練に強い印象を受けていたことがわかります。日記には、「日本人のように純粋な魂を持っている人たちはどこにもいない」、京都についても「街の中の奥まった中庭は私がみたことのあるなかでもこの上なく素晴らしい建築である」と記されています。

 また彼は日本について、「西洋における科学的な業績に追いつかなければならないが、日本人は、生活の芸術的なかたち、奥ゆかしく控えめな姿勢、その心が清らかで穏やかであることは西洋よりも優れている」と記しています。

 日本からの帰途の途中、当時の英国委任統治領であったパレスチナに寄ってヘブライ大に行っている。目的は創立されてまだ5年の大学を支援のためでした。エルサレムのスコープ山の上のキャンパスで、彼は教授や学生を前に一般相対性理論の講演をしました。講演はフランス語でしたが、最初はヘブライ語であいさつをしたのです。地中海沿いのテルアビブを訪れ、「ここはいきいきとした経済的で知的な生活ができる現代的な街になる」とみていました。実際、いまではそうなっています。

 現在、大学のキャンパスにはアインシュタインのイメージを表した出版物や彫刻がたくさんあります。その人生と業績は私たちに刺激を与え続けています。チェリートマトのように。

◯Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授、同大東アジア学科学科長。トルーマン研究所所長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年エルサレム・ヘブライ大にて政治学および東アジア地域学を修了。2007年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に送られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。12年エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。

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Nissim Otmazgin

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〇Nissim Otmazgin(ニシム・オトマズキン)/国立ヘブライ大学教授。トルーマン研究所所長を経て、同大学人文学部長。1996年、東洋言語学院(東京都)にて言語文化学を学ぶ。2000年ヘブライ大学にて政治学および東アジア地域学を修了。2007年、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了、博士号を取得。同年10月、アジア地域の社会文化に関する優秀な論文に贈られる第6回井植記念「アジア太平洋研究賞」を受賞。2012年、エルサレム・ヘブライ大学学長賞を受賞。研究分野は「日本政治と外交関係」「アジアにおける日本の文化外交」など。京都をこよなく愛している。

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