女優・吉永小百合さんは早稲田大出身(c)朝日新聞社
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俳優(主演男優賞・女優賞、助演男優賞・女優賞など。延べ人数)。表の続きはこちら
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 俳優の出身校(中退、除籍を含む)を眺めると、なかなかおもしろい。

【早稲田大、明治大、東京大… 俳優の出身大学ランキングはこちらで一挙公開!】

 たとえば菅原文太(故人)は早稲田大、石坂浩二は慶應義塾大。大学の校風と俳優のカラーがどことなく重なるような気がする。早慶がそれぞれ「バンカラ」「お坊ちゃま」などといわれた時代のイメージである。

 大学進学率が50%を超えた昨今、大学出身の俳優が増えた。俳優と出身校に、何か関係は見いだされるだろうか。

大学ランキング2019」(朝日新聞出版)では、俳優の出身大学を集計し、ランキングで紹介している。別表は、1970年以降に映画賞、ドラマ賞を受賞した俳優の出身大学を数えたものだ(延べ数)。日本アカデミー賞、キネマ旬報、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞、報知映画賞、ドラマアカデミー賞、エランドール賞などである。

 1位の早稲田大は、北大路欣也、長塚京三、中山仁、石田純一、佐藤B作、益岡徹、風間杜夫、平田満、内野聖陽、吉永小百合、室井滋など大物がそろう。彼らは1940年代生まれから1960年代生まれで、往年の早稲田のイメージをなんとなく感じさせる。劇団出身で中退者が多い。

 1970年代生まれ以降では、藤本隆宏、藤木直人、中野裕太、中丸雄一など。この世代になるとジャニーズが入ってきて、昭和の早稲田っぽさは失われてくる。女子学生が増えたことで、早稲田出身のアイドルも誕生している。AKB48の元メンバー、仲俣汐里、野澤玲奈、佐藤夏希である。

 2位の明治大は、かつては男子学生が多かったせいか、体育会、硬派なイメージがあった。それを象徴するのが、映画「アウトレイジ」3部作である。明治大OBの北野武、大杉漣、松重豊、西田敏行が集結した。みんな、こわ~い顔で暴れまくっている。明治大は「不器用」な高倉健、悪役の八名信夫、山本麟一を生んだ大学。武骨さが引き継がれている(大杉、高倉、山本は故人)。

 ところが、平成に入ってから、明治大のイメージに変化が見え始めた。向井理、山下智久の登場で、武骨さからスマートさに転換しつつある。そして、明治大も女子学生が大幅に増えたことで、OG女優の顔ぶれは華やかなものになった。井上真央、北川景子は大学パンフレットのグラビアを飾り、受験生を魅了した。山本美月、川島海荷などファッションモデル出身の女優も主役をはるまでになった。

 3位の日本大には、芸能の世界で活躍する数多くの著名人が輩出する芸術学部、通称「日芸」という大票田がある。

 高橋英樹、宍戸錠、梅宮辰夫、笹野高史、船越英一郎、真田広之、佐藤隆太、柴田恭兵、森本レオ、内藤剛志、池松壮亮、田島令子、伊藤蘭、大塚寧々、本仮屋ユイカ、蒼井優など。ベテラン、中堅、若手と、各世代の代表的な演技派がそろう。俳優の輩出数では日本大がもっとも多いだろう。

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中央大、青学大には…