結婚しなくて、ただつき合うという選択肢もあるのではないか。
もうお互い50歳を過ぎているのだし、今すぐ結婚しなくても、親の心配がなくなってからでもいいのではないかなど、打算的ではあるが、目の前の現実にさまざまな思いが巡っていた。
そんな山口さんに彼は提案する。
「お母さんのことは心配だろうから、毎日面会に行けばいい。お互い、親の心配がなくなる日なんて、いつになるかわからないから」と。
そしてこうも彼は言った。
「自分が亡くなったら、僕の年金を受け取ってほしい」
彼は当時会社員。自分が亡くなったら遺族年金は山口さんに受け取ってほしいということだ。
「驚きました、あまりにも合理的な考えに。でも、こういうプロポーズもあるんだなって。彼らしいと思いました」
■母が亡くなったときに結婚してよかったと
そして、山口さんは彼との結婚を決意する。お姑さんとも同居し、W介護も覚悟して。
山口さんが54歳のとき。