オリックス・山本由伸(左)と楽天・田中和基(右) (c)朝日新聞社
オリックス・山本由伸(左)と楽天・田中和基(右) (c)朝日新聞社

 長く険しかったシーズンも残りわずか。優勝&CS争いに加えて、今年も激しい個人タイトル争いが繰り広げられた。その中で、今年最も輝いたニューヒーローは誰か。一生に一度しか獲れない『新人王』タイトルの獲得者(パ・リーグ編)を予想したい。

 東克樹(DeNA)が2ケタ勝利を挙げて新人王間違いなしのセ・リーグに対して、パ・リーグは記者票が分散されることが予想される。有力候補者は3人。10月4日終了時点でリーグ最多の71試合に登板している加冶屋蓮(ソフトバンク)と同54試合登板の山本由伸(オリックス)の中継ぎ投手2人と、シーズン途中から1番に定着した田中和基(楽天)である。

 JR九州から2013年のドラフト1位で入団して今年が5年目の加冶屋は、昨年まで通算4試合登板のみという状況だったが、昨季2軍戦42試合登板で15セーブを挙げた自信を手に、今季は初の開幕1軍入りからフル回転。140キロを超える“高速フォーク"で三振を奪い、7月にやや調子を崩したが、8月に入って持ち直し、10月2日にはシーズン70試合登板を達成。ここまで4勝(3敗)31ホールドで計35ホールドポイントを挙げている。有資格ギリギリのプロ5年目での新人王獲得となれば史上初。チームが優勝していれば評価はさらに上がったはずだが、果たしてどうなるか。

 印象度で言えば、高卒2年目の右腕、山本の方が上かもしれない。都城高から2016年のドラフト4位でオリックス入り。昨季5試合に先発してプロ初勝利をマークすると、今季は150キロを超える自慢の剛速球を武器にセットアッパーとして大活躍。9試合連続無失点に始まり、6月は13試合で1勝0敗11ホールド、防御率0.69と圧巻のパフォーマンスを披露した。疲労が溜まった8月以降に調子を落として1点台だった防御率が2点台に突入したが、ここまで54試合に登板して4勝(2敗)32ホールドでの計36ホールドポイントは加冶屋を上回り、防御率2.89も立派な数字だ。だが、調子とともに数字も落として尻すぼみの感はある。その辺りがどう票数に影響するか。

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楽天の新リードオフマンも候補