恥ずかしながら毎朝2人一緒に風呂にも入っていたので、あるとき思いっきりトウチャンのイチモツをひっぱったら一切芯らしき硬さがなく、思わず「小泉純一郎氏もびっくり、これがホントの『芯なくば勃たず!』」と叫んで2人大爆笑したのが昨日のようだ。

 まあ、レスの原因は、互いの老いさらばえたボディや太りさらばえた(?)肉体を明るい風呂場で披露しすぎたせいのような気もしなくもないが……。

 こんな話を公共の電波を使ってしているものだから、「まるで鉄の処女だね。ハイジに出て来る家庭教師のロッテンマイヤーさんみたい」と親しい友人からもあざ笑われる始末。だから、長い付き合いのカップルやご夫婦がちゃんと今も営みをもっている、と聞くと、尊敬と畏怖に近い感慨が押し寄せる。

 そもそもセックスには向き不向きがあるよね、きっと。私は恋愛が大好物、キスもボディタッチも好きだが、性行為そのものは苦手。これじゃあまるで「キスは唾液の交換だから嫌い」「セックスはしたくない。したことあるけど、しぶしぶ、だった」と堂々と言い放っている社会学者の古市憲寿氏と大差ないではないか!

 そういえば、最近ある会で同席したイケメン中年が、「女好きとセックス好きは違う」と力説しだした。そして「俺は女好きであって、セックスはどっちでもいい。それよりも話が合うとか笑いあえるとか、精神的に結びつきあいたい」。それを聞いて、突然彼への好感度がアップした。いかにもスケベそうな人なのに、そこじゃないんだ!そして、さらに追い打ちをかけるように岩井志麻子までもが「いつでもヤレるくらい親しくなった男とあえていつまでもやらない、というのが一番エロいんかもなぁ」などと言い出したのだ。ひえーっ!ついこの間まで、私と志麻子は「2大性党」(セックス自由党とプラトニック民主党)だったのに。ついに時代が私に追いついたのか?

 そしてセックスレス記録絶賛更新中の2016年のある日、年明け早々に出会った「霊能で運命の相手だと予言されていた」年下男性から「2人で映画でも観に行きましょう」とラインが入った。私が密かにアニキと名付けた彼とはあの出会いのあと、時々ラインのやり取りはしていたのだ。一見モテ男風のアニキがいったいこんな私のナニ目的なのかは不明だが、とりあえずすぐに「日程出します」と返事を打ち返し、ゴングが鳴った。

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中瀬ゆかり

中瀬ゆかり

中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、 作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに。

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