「来場者はいわゆる安室さんのファンだけでなく、お年寄りや仕事帰りの方、ジョギング姿で立ち寄った方もいました。好きな曲を投票するコーナーでは、80代の方がNEVER ENDに投票してくれていたり、ラッピング紙面を興南高校の甲子園春夏連覇(2010年)や宮里藍選手の引退(2017年)などの号外と一緒に家の壁に貼っている人もいました。沖縄では世代を超えて一つの社会現象だったと実感しています」

 那覇空港や国際通り、那覇市役所、沖縄市役所など県内のいたるところに掲げられた「WE(ハート)NAMIE HANABI SHOW」関連のフラッグや大型ポスターなどは引退日で撤去され、県内の景観はお祭りムードから一変。 "アムロス"に襲われているファンの声もSNSに溢れている。だが、最後のライブを見た女性はこう話す。

「アンコールもステージにマイクを置くような演出も無く、笑顔であっさりと終わった印象でした。会場の外にいるファンは号泣していましたが、会場内では意外と涙を流している人は少なく、落ち着いて引退を受け止めているような雰囲気でした。それを見て、何度も『最後は笑顔で』と繰り返し語っていた安室ちゃんは"アムロス"を望んでいなかったのではと思いました」

 25年間、安室さんの活動を追ってきた音楽ライターの平賀哲雄さん(40)は「安室さんには熱狂的なファンが多く、尾崎豊さんが亡くなったときのような影響が社会に広がりかねなかった。安室さんは引退まで1年の期間を設けることで、ファンが引退と向き合って考える時間とチャンスをつくったのだと思う」と分析する。

 安室奈美恵の引退後をどう過ごすのか。"祭りのあと"にも注目だ。(AERA dot.編集部・金城珠代)