AERA 2023年6月12日号より
AERA 2023年6月12日号より

 東海地方の小6男児の40代母親によると、今年4月の学級懇談会は、ゲームの悩みでもちきりだったという。

「夜8時に集合したり、家庭で決めた時間になって『もうやめなさい』と言っても、子どもが『チーム戦だから一人だけ抜けられない』と食事時間も構わずゲームを続けることもあったり。多くのご家庭が悩んでいました」

 都内の小学校で教える30代の女性教諭は、連絡網の消滅もオンラインゲームの拡大につながったのではと推測する。

「親同士が連絡先を知らなくても、IDがあればゲームの中で集まれるようになりました」

 だが、オンラインゲームの増加と共に、保護者からの相談も増加しているという。

「ネグレクトの家庭になればなるほどゲーム漬け。教育の格差を感じます」

 子どもとオンラインゲームの関係に詳しい兵庫県立大学環境人間学部教授の竹内和雄さんは、子どものサイバー空間遊びの増加を懸念する。コロナ禍の影響で、外遊びが主流だった子どもでさえも、友達と遊ぶためにオンラインゲームをやるようになった。帰宅したらすぐにやるばかりでなく、お風呂や夕飯、宿題の時間を短くしてやる状況だという。そして、「朝ゲー」人口も増加中だ。

「多いのは小学校高学年からです。夜遅いと親の目が厳しいですが、朝4時なら親も寝ているから気がつきません。海外のオンラインゲームの大会は、時差の関係で日本の早朝に開催されます。子どもたちは本当にいろいろと考えます。課金にしても、親のクレジットカードを使わなくても、コンビニでプリペイドカードを買って使う子も多いですから、親が気づいていないケースもあります」(竹内さん)

(フリーランス記者・宮本さおり/ライター・大楽眞衣子)

AERA 2023年6月12日号より抜粋