放課後にゲームで遊ぶ子どもたちは以前からいたが、コロナ禍を経て、オンライン上で集合して遊ぶのが主流に。外遊びをしない子どもたちの実態とは。AERA 2023年6月12日号の記事を紹介する。
* * *
「じぁあ、4時集合な!」
学校帰りに友達と約束をし合う子どもたち。だが、これは夕方4時に公園集合、という意味ではない。早朝4時にオンラインゲーム上で集合という意味だ。
小学4年生の息子を持つ自営業の女性(熊本県在住)はこうした「朝ゲー」事情を息子から聞いた。
「同じ学年の子3、4人が『朝4時に大会に参加しよう』と友達に声をかけてゲーム上で集まったそうです」
女性の子どもは朝ゲーには参加しなかったものの、ここ数年、ゲーム依存気味の状況だという。
きっかけはコロナ禍。人との接触に制限がかかり、外遊びの時間が減ったが、親も仕事があるため、なかなか子どもと遊んでやれない。息子は小2の頃、周りが持ち始めているからと、「(ニンテンドー)スイッチが欲しい」と言い出した。こうして、友人とゲーム上で集まり始めた。
■課金する子が上位に
やっていたのは「フォートナイト」というサバイバルゲーム。推奨年齢は15歳以上だが「みんなやっている」という子どもの言葉に「そうなのか」と許可してしまった。しかし、いざゲームを始めると、息子の口から暴言が聞こえるようになった。
「死ね死ね死ね!」
言葉に気をつけるように、と促すものの、友達と遊ぶ方法が他になく、目をつむるしかなかった。そのうちに「装備が欲しい」と課金をせがむように。
「課金していないとお友達からもバカにされるそうなんです。中には小2で年間5万円使っているというお宅も。たくさん課金している子は学校のリアルな関係でも上位にいるんです。周りがいいなりになって巻き込まれていくという構図です」
その後、ゲーム機は取り上げられ、親の使わなくなったスマホで少しゲームをする程度。しかし今年の正月、祖父母の家に連れていったら、明らかに態度が不機嫌に。
「早く帰る?」「何時に帰るの?」とイライラした様子。早く帰りたがる原因は、祖父母宅にWi-Fiがなく、ゲームができないからだった。ついに父親が激怒し、スマホごと取り上げた。